物騒で怖い「空き家時代」・・・お隣さんは住人いない"幽霊屋敷"

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   全国の空き家は820万戸、空き家率は13.5%(2013年)だ。核家族化で子は親元を離れ、親が亡くなっても戻れない。解体費用は高く、維持費もかかるが、これが変わる兆しがあるという。

   京都市で店を持つ片岡慶一さんは実家の町家の維持・管理に悩んできた。築90年の木造家屋は路地の奥の奥で、10年間空き家だった。相談を受けた建築・不動産業の西村孝平さんは、オフィス街から10分という地の利に目をつけた。片岡さんから借り受けて3000万円をかけて改修し、シェアオフィスに造り替えた。1階の共同作業スペースは会員制で、2時間500円でビジネスマンが利用できる。2階はレンタルオフィスで、専用スペースの賃貸は月2万7000円から。会員は30人を超え、お荷物だった町家は月45万円を売り上げる収益物件に変わった。

街ぐるみで空き家活用―東京・豊島区

   地域ぐるみで解決した例もある。東京・豊島区の空き家率は全国平均を上回る15.8%で、消滅可能性都市といわれる。山田由子さんは築45年の木造二階建てを、夫を亡くして受け継いだ。使い道を考えた。託児所には建築基準を満たしていなかった。グループホームには広さが不足。解体して駐車場には間口が狭い。駐輪場ではほぼ税金に持っていかれる。そんなとき、区主催の町づくりイベントで使い道を見つけた。

   建築家、財務のプロ、内装業などの有志5人が「月15万円で貸してください」となった。5人は「まちづくり会社」を設立して、リノベーション、経営プランを練った。固定資産税3年分30万円と改修費1200万円を会社が負担し、利益が出るまでの2年半、山田さんは家賃を無料にするという計画ができたのだ。

   提案から1年、1階はおしゃれなカフェになり、編み物教室など地元の人が交流する場になった。2階は外国人向けの宿泊施設だ。ディープな日本を知りたいという外国人に人気で、1泊約1万円だが、昨年1年間で述べ900人が泊まった。携わった建築家の大島芳彦さんは「家は社会的な存在です。空き家にどういう新たな役割を与えるか。社会資産として考えなおした」と話す。

   国や自治体も動き出した。この4月(2017年)に空き家を高齢者や低所得者向けに活用する法律ができた。持ち主が登録して、家賃や耐震改修費を補助する。耐震性で一定の基準を満たしたら「安心R住宅」というお墨付きを与える。住宅金融支援機構も中古住宅の購入に、省エネ、バリアフリー、耐震性などの工事を行う費用の金利優遇プランを設けた。

週末ハウスに海辺の空き家購入

   野村総研研究所の榊原渉さんは空き家の先行きは暗いという。試算では、2033年には2167万戸となり、空き家率は実に30.4%に達する。「3軒に1軒ということは、両隣のどちらかが空き家。防犯、防災上も深刻な状況になります」

   思わぬ展開を見せている空き家もあった。東京から車で2時間の千葉・南房総市の空き家率は24%と高い。その空き家を購入する人たちがいた。平日は東京など都会で過ごし、週末にやってくる。「二地域居住」というのだそうだ。

   成田剛史さんは都内在住のサラリーマンだ。購入したのは築60年の空き家。家は荒れ果て、雑草に覆われていたが、600坪の土地付きで、年間収入を下回る安さだった。土日を楽しみながら家の改修をする。愛犬は広い庭を走り回り、娘さんは耕運機で畑仕事。自らは好きな音楽を楽しんでいる。

   「気持ちが切り替わる。人生観も違ってくる」と成田さんは言う。地元も大歓迎で、「土地が荒れてしまうのは悲しい。いろんな方が来て土地を活用してくれるのはいい」

   空き家問題は日本が抱える問題を背負っている。地域が知恵と資金と人手を出し合い、「その気」になったところは何とかなっている。遠くから黙って見ているだけでは、「お隣のどちらかが空き家」が迫ってくる。これは恐ろしい。

クローズアップ現代+(2017年6月15日放送「空き家が収益物件に!? 新時代の活用術」)

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