国連「核兵器禁止条約」採択にこぎつけた中満泉事務次長の凄腕!アメリカや北朝鮮と直談判

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   核兵器の開発や保有、使用を法的に禁止する「核兵器禁止条約」が先週7日(2017年7月)、国連で採択された。大きな役割を果たしたのが、今年3月に国連事務次長(国連軍縮担当上級代表)に就任した中満泉さんだ。武田真一キャスターのシリーズ「トランプのアメリカを行く」第2弾で、中満事務次長に条約の成果を聞いた。

前文に盛り込まれた「ヒバクシャの心」

   核兵器禁止条約は核廃絶に逆行する現実に核を持たない国々が切り札として打ち出したもので、核兵器を人類にとって最も非人道的な兵器と位置付け、法律で禁止する新たなアプローチだった。つまり、核を持たない国々が核戦力の強化に動く核保有国に、強い異議申し立てを行ったのだ。

   採択には、国連加盟193か国から124か国が出席した。投票は122か国が賛成、アメリカなど核保有国9か国、アメリカの核の傘に守られている日本など28か国が不参加だった。

   条約は、前文で「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)と核実験に被害者にもたらされた苦痛と被害を心に留める」とうたい、人道的見地から核兵器の存在を否定している。核兵器の開発や実験、保有、移転、そして使用など幅広く禁止し、核兵器をちらつかせる脅しも禁止に盛り込まれている。

   条約会議の初日のスピーチで中満事務次長はこう強調した。「この条約交渉は未来に繋がるものにしなければならない。核廃絶のためにはより多くの国を巻き込むことが不可欠だ」

「核保有国の参加も少しずつ見えてきました」

   ―条約採択の意味を国連軍縮トップとしてどう捉えていますか。

   「これまでの核軍縮をめぐる全体的な構図が大きく変わっていくかな、と考えています。(条約に)参加する国にとって、核兵器は違法になるという国際法に新たな条約をつくったのは非常に大きな歴史的な意義があります」

   ―条約の制定で核保有国に削減の圧力がかかるのではないかというのは、いささか楽観的過ぎるという見方もありますが。

   「最終的には、核兵器を持っている国が動いてくれないとそこには繋がらない。これも現実的事実です。ですので、そのためには、新しくできた条約のモメンタム(機運)をどのように使っていけば一番早い形で現実的に駒を進めていけるのか、それをこれから考えていくことになります」

   ―核保有国のアメリカとか、北朝鮮の代表とも直接会って話をされたと聞きます。そうした対応の中で、中満さんごはどんな役割を意識されていたんですか。

   「国連が重要になってくるのは、対立点を鋭く指摘するのではなくて、対立した立場のなかから、どこに共通のコモングラウンド(共通の立ち位置)を見出すことができるかにかかっています。どういうふうなことでお話をしていけば、うまい方向に、共通の接点を探していけるのか、少しずつ見えてきたところです」

   不安定な世界情勢の中で、いますぐに保有国の核兵器削減にはつながらないだろう。しかし、人道的見地から核兵器を絶対悪として否定した条約は長い目で見れば核拡散防止などで影響を及ぼすのではないか。

クローズアップ現代+(2017年7月12日放送「シリーズ トランプのアメリカを行く 中満泉・国連事務次長に聞く」

文   モンブラン
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