2018年 7月 20日 (金)

経済制裁か軍事攻撃か 核保有国への道たどる北朝鮮を足踏みさせるには

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   北朝鮮が3日(2017年9月)6回目の核実験を行い、「水爆実験に成功」と発表した。いま何が起きているのか。

   モスクワに北朝鮮の核開発に警鐘を鳴らし続けてきた人物がいる。元ロシア外交官で平壌駐在の経験もあるゲオルギー・トロラヤ氏だ。北朝鮮が去年(2016年)5回目の核実験を行ったとき、専門家の多くが「水爆のレベルにはまだ達していない」と分析したのに対して、トロラヤ氏は水爆一歩前のブースト型と見た。今回の実験を「予想より速い開発スピードで、水爆に限りなく近い」と、待ったなしの脅威を指摘する。

   ソウル大のソ・キュンニョル教授は金正恩委員長がそばに立ち、「水爆」だと公表した爆弾の写真に注目した。「旧ソ連の水爆に非常に似ている。ICBM(大陸間弾道弾)に塔載できれば北朝鮮を核保有国と見なければならない」という。

   長崎大学の鈴木達治郎・核兵器廃絶センター長も「ひょうたん型の形状は典型的な水爆の形で、核分裂や核融合の理解を考えても、北朝鮮は水爆の技術を獲得し、小型の水爆に近づいている」と語る。南山大学の平岩俊司教授は「米本土に届くミサイル開発と同時に核開発もめざしていたと考えるべきで、今回はその能力を示した」と受けとめている。

   次の一手は何か。射程距離の長いミサイル「火星13号」を今月9日(2017年)の北朝鮮建国記念日に太平洋に飛ばすのではないかとも観測される。平岩教授は「挑発の可能性は強い」と見る。

   国際社会はどう対応するのか。

   米国のマティス国防長官は「多くの選択肢がある」と強いトーンの声明を発表した。トランプ大統領は記者に質問に「そのうちわかる」と答えたが、ツイッターでは「北朝鮮とビジネスをする、あらゆる国との取引停止を検討する」と言いだした。とくに中国にいらだちをぶつけた形だ。石油禁輸が当面の焦点にあがってきた。

   その中国は、新興5カ国首脳会議の初日に核実験をされて、メンツをつぶされた。北朝鮮に近い東北部は大きな揺れに見舞われ、ネットの投稿サイトには国民から不安の声が寄せられた。北京駐在の北朝鮮大使をよんで直接抗議せざるを得なかった。

   しかし、一方で経済制裁には慎重だ。政府系紙は社説で「石油輸出を中止しても、北朝鮮をとめられるか不確かだ」と書いた。平岩教授は「顔に泥を塗られて強い非難をしているが、圧力では変わらないとの思いや北朝鮮を暴発させてはいけないとの思いもある。今後の関係を考えると、石油禁輸は簡単ではない」と指摘する。

   日本はどうするべきか。

   安倍首相は核実験当日に二度、トランプ大統領と電話会談して「これまでにない強い圧力が必要」との認識で一致した。北朝鮮の外貨獲得源を絶ち切れるか、中国から北朝鮮に流れる石油をどこまで止められるかなどを話し合ったと見られる。

   制裁強化には石油ストップが有効なことはわかっているが、中国は言葉だけでは進まない。米国と北朝鮮との対話は「接点を見出すのもむずかしい」(平岩教授)となれば、もう一つの選択肢は軍事行動だ。日本にとっては恐ろしく危険なことになる。

   笹川平和財団の渡部恒雄・特任研究員は「米国による限定的攻撃の可能性は低いが、はずせない」という。核とミサイルを一気に攻撃して除去し、かつ日本や韓国に被害を及ぼさないことはむずかしいが、米国は常に検討していると推し測る。「制裁、対話、軍事行動の三つがバランスをとって最終ゴールに向かうべきだ」と指摘する。

   「制裁強化をまず迅速に」と、平岩教授は強調する。取引先への二次的な制裁よりも石油禁輸へ中ロの協力が必要との考え方だ。そうこう議論しているうちにも「時間がたつほど開発は進む。戻れないところへきている」(鈴木教授)現実がある。

   「今回の核実験は、核拡散を危惧するヨーロッパ諸国にも訴えるチャンスで、日本の役割でもある」(渡辺研究員)、「最終ゴールは非核化であることを引き続き世界に訴える必要がある」(平岩教授)

   一方で、上空で核爆発を起こされると、強力な電磁波でインフラが壊滅する電磁パルス攻撃という新たな脅威も指摘され始めた。ノホホンとしてはいられない状態だ。

   国際社会の足並みをそろえられるか、「期待して見守りたい」(武田真一キャスター)とはいうが、そろえたら北朝鮮の暴走を止められるのかは誰にもわからない。

クローズアップ現代+(2017年9月4日放送「北朝鮮"水爆実験"の衝撃 危機の行方は」

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