2024年 4月 24日 (水)

日ごとに評価落とす小池・希望の党代表 出馬めぐる優柔不断

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   小池百合子の評価が日を追うごとに下落している。小池の希望の党運営がその場限り、独善的、政策といえるものがないなど様々あるが、最大のものは小池が都知事を辞して国政に関わると決断しない「優柔不断」な態度に対してである。

   小池は公示ギリギリまで世論の動きを見ながら出馬宣言しようとしている。そうすれば都知事の座を放り出しても、選挙中は小池批判を新党への期待の声がかき消してくれる、そう計算しているに違いない。

   希望の党は10月4日(2017年)に第一次公認候補192人を発表した。

   だが、長年小池にアドバイスしてきた細川護熙が、「公認するのに踏み絵を踏ませるというのはなんともこざかしいやり方で『寛容な保守』の看板が泣く」と強く批判した。

   長野1区で公認された民進党前職の篠原孝・元農林水産副大臣は、「政策なんて何もない政党と政策協定書にサインさせるなんて、小池さんの前で土下座して、クツを舐めさせるような行為です。私は、政治家として14年間歩んできた矜持から、サインはしないと伝えました」(AERAdot.10月4日22:04配信より)

   それなのに公認されてしまった。篠原は希望の党に三下り半を突きつけ、無所属で出馬する。

   "無責任女"小池が出馬するかどうか現時点では不確定だが、枝野幸男立憲民主党ができて、色分けははっきりしてきた。自民と小池新党、維新の会が改憲積極右派、公明党は日和見、立憲と社民党がリベラルで共産党がやや左派。

選挙予測で自民大幅に議席減らす

   週刊現代と週刊文春の一足早い選挙予測を見てみよう。週刊現代は「小池総理、誕生へ/自民がよもやの野党転落-東京は自民全滅の危機」、週刊文春は「自民74減 希望101 10・22総選挙」

   週刊現代の締め切りは先週木曜日(9月28日)だから、希望の党人気が沸騰し、小池も出馬確実と思われていた時。予測の根拠も自民党が23日~26日までに行った選挙区調査で、東京の当確は3人だけだった、政治部デスクが希望は150から200くらいとるのではないかとコメントしているだけ。

   その点週刊文春は、久保田正志+本誌取材班として、当落予測一覧表もつけている。文春によれば、自民党の魔の二回生約100人の半数以上が落選する。立憲民主党の長妻昭の選挙区に希望から都民ファーストの会・荒木千陽代表の父親、荒木章前熊本県議が立つが、この人、セクハラ裁判を起こされ被害女性に300万円払って和解した過去があるそうだ。

   群馬一区は、自民の公認は尾身朝子だが女子大生買春疑惑の佐田玄一郎が出馬し、中曽根康弘元首相の孫・康隆まで出馬すると表明。三巴の争いだから、希望の宮崎岳志が漁夫の利を得そうだ。

   小沢一郎は無所属で出るがほぼ安泰。稲田朋美前防衛省、パンツ泥棒疑惑が報じられた高木毅元復興相も選挙に強く、「高木氏もとにかく選挙に強く、おそらくパンツをかぶっても勝てる」(地元記者)

   W不倫を報じられ民進党を離党した山尾志桜里は「高齢男性を中心にウケがよく、選挙となるとなかなか強い」(民進党関係者)

   今週の文春砲は、今回出馬予定だった公明党の樋口尚也前衆院議員に向けて放たれた。若手のホープだそうだが、赤坂のホテルで愛人と密会していると週刊文春が報じるとわかり、「一身上の都合により、離党並びに公認を辞退したい旨の届が提出され、受理、了承いたしました」(公明党広報部)

   公明党は先週の週刊文春の報道で、長沢広明参院議員が議員辞職し、今週は当選確実な若手のホープを失った。

   では、選挙結果はどうなるのか。政治広報システム研究所・久保田代表はこう語る。

   「自民党は現有二百八十八議席から七十四減の二百十四議席で、単独過半数割れ。公明の三十四議席と合わせて、過半数を確保するのがやっとです」

   そうなれば、安倍首相の責任が問われることは必至だ。

   希望の党は101議席を獲得して野党第1党に。立憲民主党が現在の11議席から28議席に延ばす。無所属立候補者では、与党系が6議席から5議席。野党系は37議席から31議席とともに減らすという。

改憲派が膨れ上がる

   だが、選挙後「大きく変わるのは改憲を巡る勢力図だ。自公、維新に希望が加わり、四百議席以上に膨れ上がる」。安倍が辞任して岸田文雄首相が誕生しても、改憲へと大きく動き出すのだろうか。

   だが、小池と近い石破茂が小池と大連立を組み、石破首相になる可能性もあるそうだ。おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉。有権者をこれほど悩ませる衆院選はないが、あとのことは考えず、安倍政権打倒の一点に絞って投票するしかないと、私は思っている。

   文春の小池百合子激白は、読む限り「立ち話インタビュー」ではないのか。新味も中身も何にもない。

   週刊新潮の巻頭特集「小池百合子の希望・横暴・票泥棒」も語呂合わせだけで、新しい情報はほとんどない。取り上げるとすれば、哲学者の適菜収のこの言葉ぐらいか。

   「『改革』は便利なキーワードです。失敗したら、それは改革が足りないからだと言い逃れできる。だからもっと改革を進めろと。これは悪質な宗教と同じです。救われないのは信仰心やお布施が足りないからだーーと」

   「改革保守」なる中身のない珍妙なフレーズに騙されてはいけない。

アベノミクスの失敗

   安倍自民党は「アベノミクス」の加速を公約に謳っているが、アベノミクスなどとうに失敗していると、週刊現代で中原伸之元日銀政策委員会審議委員が告発している。

   中原は、黒田日銀総裁は2つの失敗を犯した。したがって、黒田は来年4月で任期が来るが、辞めたほうがいいといっている。

   「(黒田総裁の=筆者注)続投は難しいでしょう。そんなことをすればろくなことになりません。確かに黒田総裁が金融緩和をして名目GDPを伸ばしたのは評価しますが、一方で2つの失敗を犯しているのです。

   その1つは、2014年4月に消費税を5%から8%に増税するのに賛成をしたことです。せっかくアベノミクスで上向いていた日本経済を腰折れさせました。そもそも、黒田総裁が増税への賛否を表明するのはアコード違反。2013年1月に政府と日銀銀行が出したアコード(共同声明)では、日銀総裁は物価目標に責任を持ち、政府は財政に責任を持つという役割分担が記され、互いの分担に、口を出さないという取り決めになっていました。黒田総裁はこれに違反した。

   (もう一つは=筆者注)2016年1月に、マイナス金利政策を導入したことです。長期金利は下げましたが、国民は預金に利息がつかないということで消費を控え、これから物価が上がっていくというインフレ期待をがくんと下げてしまいました。もとより貯蓄好きの日本人には合わない政策で、こんな政策は長続きするはずがない。すでに金融機関の経営を悪化させています。(中略)

   これから5年を見据えた新たな金融政策の枠組みを実施するには、人から替えなければいけない。黒田総裁はもう役割を終えたのです」

   週刊現代 安倍政権がいま打ち出している経済政策はどうでしょうか。10月22日投開票の衆議院選挙に向け、消費税を8%から10%に増税する際の増税分を社会保障に回すということを突然打ち出してきました。

   「あれはね、前原誠司・民進党代表をかなり意識していますよ。

   前原氏は民進党代表選の際に『中負担・中福祉』という政策方針を打ち出し、増税はするけれど、その増税分すべてを社会保障や福祉の充実に使って国民に還元すると示しましたよね。これはとてもおもしろい政策です。

   私はよくこう言うんです。日本は今過去3000年近い歴史の中で、最も平和で、モノも安く生活の質も豊かになった。しかし、先進各国の実質賃金はなかなか上がらない。

   それだけに国民は景気回復に実感がなく、消費もそれほど伸びない。こうした状況が若者の将来不安や、貧富の格差につながっているのだ、と。

   前原氏が打ち出した中負担・中福祉政策は、こうした社会不安や格差問題を解消する一手になり得る。まさに自民党の『低負担・低福祉』路線の強力な対抗軸になる政策です。それではまずい、ということで安倍首相は前原路線にならって消費増税の使途変更を言い出したのでしょう」

   安倍も、安倍が任命した黒田も、何もできずに賞味期限が切れたということである。

米朝が接触する可能性

   ところで米ネバダ州ラスベガスで起きた銃乱射事件で、60人近くが死亡し500人以上がケガをした。

   犯人は自殺していて、動機などはまだはっきりしないが、この事件にイスラム国が関与していなくても、明らかなテロ事件である。

   銃規制に反対のトランプ大統領は、史上最悪の銃による「虐殺」事件が起こっても、規制に関して何もいわない。

   レーガンのように、自分が狙撃されなければブレイディ法(事件で半身不随になった大統領補佐官の名を付けた銃規制法)をつくることさえ考えることもないのだろう。

   北朝鮮に動きが出てきたと読売新聞(10月5日付)が小さく報じている。北朝鮮外務省で対米交渉を担当する人間が、モスクワで19日から開かれる核不拡散に関する国際会議に招待され、クリントン、オバマ時代に北朝鮮問題を担当した元国務次官も出席するそうだ。「ロシア側の仲介で米朝両国が接触する可能性がある」(読売)

   だが、北朝鮮側が話し合える相手だと唯一考えているティラーソン国務長官が今夏、トランプとの外交政策の違いで辞任を検討したと報じられている。

   ティラーソンは異例の会見を開いて否定したが、北朝鮮との対話を主張する彼と、時間の無駄だと否定するトランプとの間で齟齬が生じていることは間違いないようである。

   朝鮮労働党創建記念日である10月10日に、金正恩が何かやるのではないかという見方が強くある。

   週刊現代は近藤大介編集次長の北朝鮮労働党幹部インタビューを掲載しているが、その中でトランプに対して怒りをあらわにしている。

   「トランプが国連総会で行った、あの憎むべき演説で、すべてが変わった。あの演説は、わが国に対する『宣戦布告』に等しい。あの日を機に平壌は、もはや米帝との戦争しか道はないという雰囲気に一変した」

   具体的に、トランプ大統領の国連演説のどの部分が「宣戦布告」と思わしめたのか?「それは2点ある。第一に、元帥様の声明の通りだ。すなわち、『わが国の完全破壊という、歴代のどのアメリカ大統領の口からも聞いたことがない、前代未聞の無知蒙昧かつ狂人的な言葉を吐き続けた』ことだ。

   もう一つは、(23日に)李容浩外相が国連総会の演説で述べたように、『わが国家の最高尊厳(金正恩委員長)を、ロケットになぞらえて冒?した』ことだ。このような最高尊厳に対する冒?も、これまで歴代のどのアメリカ大統領の口からも、聞いたことがない。

   金正恩委員長がいう「超強硬的対応措置」とはどういうことか?

   「それは李容浩外相が、(22日に)ニューヨークで発言しているではないか。『過去最大の水爆実験を太平洋上で行うことになる』と。李外相の発言の通りだ」

   この最大規模の水爆実験は、今年中か?

   「水爆は、ロケットに搭載して太平洋上に飛ばす。わが国が、核を搭載したロケットを長距離飛ばせることを、米帝と世界に示す。

   この最大規模の水爆実験は、正々堂々と行う。わが国のしかるべき場所にロケットの発射台を設けて、発射の準備を進める。(ロンドンにある) 国際海事機関にも、ロケットを発射する期間と区域を、きちんと申告する」

   太平洋上とは、どこになるのか?  8月9日、朝鮮中央通信は、「日本の島根県、広島県、高知県の上空を通過して、グアムまで到達する中距離弾道ミサイル4発を、(アメリカ領)グアムに向けて発射する計画を立てる」と発表しているが?

   「われわれの目標は、アメリカ本土まで到達する核ロケットを、実戦配備することだ」

   首脳同士の汚い言葉の投げ合いが、一発の銃声につながり、戦争への端緒を開くことがあることは歴史が証明している。

   ニューズウイーク日本版によると、1969年4月に、朝鮮半島沖を飛んでいた米軍の偵察機が北朝鮮のミグ戦闘機に撃墜され、乗員31人が死亡した事件が起きた。その時、ニクソン大統領とキッシンジャーが、それへの対応策を検討した概要が公開されているという。

   その際、核兵器を使って一挙に北朝鮮を壊滅させない限り、「ほぼ、確実に韓国と日本、そして域内に展開する米軍に対する報復攻撃を招く」。そしてニクソンは核兵器を使わず、キッシンジャーの意見に従って「何もしなかった」。今度の結論も48年前と大差ないかもしれないという。

   だが、トランプにはキッシンジャーがいない。そのことが最大の危機ではないか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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