2024年 4月 19日 (金)

「創新」で経済停滞を打ち破れ!習近平が煽る新成長戦略の成否

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   中国・北京で始まった中国共産党大会で習近平総書記(国家主席)が長期ビジョンとして示したのは、「大衆創業 大衆創新」をスローガンに、「創新」(イノベーション)と呼ぶ成長モデルだった。鎌倉千秋キャスターはその実験場として、さまざまな新サービスが展開されている上海市を訪れた。

   路上に色とりどりのシェア自転車が置かれ、スマホでQRコードを操作すれば誰でも借りることができるようになっていた。電子決済が急速に広がっているのだ。市場や屋台でもスマホで支払いができ、現金を持ち歩かなくて済む。屋台の店主も笑いながら「お釣りの手間は省けるし偽札の心配もない」と話す。

   無人コンビニも登場していた。商品を取り所定の場所に置いてスマホで決済すれば終了だ。鎌倉キャスターが試しに決済をせずに通過しようとしたら、店のドアは開かなかった。

新技術、新産業を優先

   「創新」のシンボルとして脚光を浴びているのが広東省の深?(せん)市である。起業を目指す若者が全国から集まり、市民の平均年齢は32.5歳。拠点を構えるハイテク企業数は8000社を超え、経済規模はここ10年で3倍に拡大した。ここで開発された民間用のドローンは、世界シェアの7割を占めている。最新モデルはコントローラーがなく、手のひらの動きで操縦できる。

   これを開発した世界最大手のドローンメーカー「DJI」の徐華濱副社長が強みとして挙げたのは製品開発のスピードだ。4年前のドローン発売開始から毎月のように新モデルを発表し続けていると話す。「われわれが次々と新商品を打ち出すのは、競争に勝つための戦略です」

   開発スピードの速さは、現地では「深せん速度」と呼ばれている。これを可能にしているのは、電子部品メーカーや技術者、それらを支える資金がここに集まっていることだという。

低賃金・製造業中心もう限界

   習政権はこうした新分野の産業をGDP(国内総生産)の15%に引き上げたいとしているが、新たな「光」が差し込めば「影」の部分も際立ってくる。習総書記が共産党トップに躍り出た5年前(2012年)は経済成長率は2ケタだったが、7.9%まで減速している。製造業を中心とした成長モデルは人件費の上昇で限界に達し、国営企業は過剰生産に苦しみながら、人員整理が進まない。そうした影の部分は依然として残ったままだ。

   国務院発展研究センターの馬淑萍さんは「過剰生産が起きているのは似たり寄ったりの製品ばかり作っているためです。その結果として、製造業の技術力は上がってこなかった。今は独自の技術、イノベーションが必要なのです。中国はその転換期を迎えているのです」

   転換の方向が創新というわけだ。モノづくりには自信のあった日本は優位を維持できるか。

NHKクローズアップ現代+(2017年10月18日放送「シリーズ 習近平の中国② 加速する"創新(イノベーション)"経済」)

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