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SNSを通した疑似恋愛が白石容疑者の「得意技」
さて、1週間に1人のペースで9人を次々に殺害したと自供している白石隆浩容疑者(27)の「動機」はいったい何だったのだろう。
乱暴目的、金銭、それとも週刊新潮で心理学者や精神科医たちがいっているように「快楽殺人」なのか。
週刊新潮は、白石がやったようにツイッター上に「自殺志願者」として投稿してみたら、「睡眠薬有るで」「お酒を飲んで睡眠薬飲めば逝けますよ! 樹海の中で最後のエッチしたい」「楽に殺してあげる」という返信が、「わずか半日で50件以上に上った」という。
中には、自殺を思い留まらせようというものもあった。だが、こうしたSNSが自殺志願者をターゲットにした乱暴目的の輩たちの温床になっていると指摘している。
白石容疑者はどういう家庭で育ち、稀代のシリアルキラーになっていったのか。父親は自動車の部品の設計を行い、メーカーに納品していた。
母親はPTAの役員をしていた。父親は、近所の人が病気になると見舞いに行ったり、雨に濡れている人を見ると傘に入れてくれる親切な人だと、町内会のメンバーが話している。
白石には4歳下の妹がいる。だが、白石が高校生の頃、母親が娘を連れて家を出てしまう。そこから彼の人生が暗転したようだ。
高校時代は取り立てて目立つ子供ではなかった。だが、友人に「練炭自殺しようとした」と話したことがあった。自殺サイトで知り合った数名と寸前までいったが、中の1人が恐怖を感じて取り止めになったと、淡々と話したという。
高校卒業後は、スーパーやパチンコ店を転々とし、その後は、新宿に本拠を置くスカウト会社に籍を置いていたようだ。
街頭でキャッチしたり、SNSで募り、風俗で働きたい女性を紹介する。スカウトされた女性の評価は、「優しい人」というものもあれば、紹介したが給料を横取りするという悪評もある。
今年2月に職業安定法違反で逮捕され、有罪判決を受けて田舎に戻る。父親は息子が帰ってきたと喜んだそうだ。
事件現場になったアパートを契約しに来たのは父親だった。週刊文春によれば、ここの所有者はWBOスーパーフライ級チャンピオン・井上尚弥の父親だそうだ。
入居した日から、白石は「死にたい」というツイッターのアカウントを開設し、9月15日には「首吊り士」というのも作り、自殺志願者を勧誘し始める。
9人の被害者の中には3人の女子高生もいた。
週刊現代では、白石容疑者が逮捕される直前まで、メールなどでやり取りしてきた女性が、インタビューに応じている。
彼女は9月6日の夜、ツイッターで「死にたいので一緒に死ねる方募集します」とツイートしたら、「首吊り士」というアカウントの白石から反応があったという。
「一緒にどうですか。車と薬を持っています」
そこからダイレクトメッセージでやり取りし、無料トークアプリでメッセージや電話をするようになった。
彼女はこれまでもSNSを通じて何人かとやり取りしてきたが、白石が一番熱心だったという。
その後、「会いたい」「一緒に住みたい」という内容に変わり、彼女のほうも来年あたり実際に会い、同棲しようという気持ちになっていたそうだ。
10月下旬ごろ、白石が電話で「人を殺したことがある」と打ち明けたことがあったという。
数日後に、他にも殺しているともいったそうだ。10月20日にはロープの写真が送られてきたので、嫌悪感を示すと「お願いだから嫌いにならないで」という返信が来た。
SNSを通した疑似恋愛に持ち込むのが白石容疑者の得意技だったのか。
だが10月後半になると「俺におカネを渡してくれたら殺してあげる」「全財産を全部俺にちょうだい」と変化し、彼女が家に来たら「飲み物に睡眠薬を入れて、眠っている間に縄で殺ろうと思う」などとエスカレートする。
「私も病んでいたので、『もう殺されたい』って感じでした」
通話をしている時、電話口から女性の声のような音が聞こえてきたという。
印象的なのは、白石が彼女にいった以下のような言葉である。
「俺は普通の子はダメなんだよね。精神的に弱い子がいい。元カノは多重人格みたいな病んだ子ばかり。俺が病んでいるから、そういう子を引き寄せちゃうんだよね」
事件の全容が解明されるまでにはまだまだ時間がかかる。最大の争点は「責任能力の有無」で、精神鑑定が行われる。心神耗弱だと認められたとすれば、精神病院へ措置入院か執行猶予になる場合もある。
最高裁まで争うとなれば3年半以上かかるそうだ。週刊ポストによれば、公判で『自殺志願者に頼まれて殺した』と主張して認められた場合は、最高でも懲役7年程度。「自殺した死体を切り刻んだだけ」と主張して認められた場合は3年以下の懲役だそうだ。
これからもSNSを悪用した犯罪は増えこそすれ減ることはないだろうが、何らかの対応を考えるべき時期に来ていることは間違いない。