2018年 11月 22日 (木)

日馬富士殴打騒動があぶり出した不条理な暴力 モンゴル人力士へのヘイトスピーチ許すな

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   12月8日から19日までハワイ州ハワイ島のワイコロアで遊んできた。空はどこまでも青く、夜は星が降るごとくではあったが、例年より肌寒く、風も強く、時々雨もぱらついた。

   現地の人に聞くと、このところ気温が下がりがちで、ワイキキのあるオアフ島では毎日雨が降っているという。

   逆温暖化現象なのだろうか。丸一日、浜辺やプールの寝椅子に寝っ転がり、Kindleで本を読んだり、昼寝をしたりの日々。そこで気が付いたのだが、数年前は、Kindleで本を読んでいる外国人を多く見かけたが、今回、Kindleを持っているのは、私を含めてせいぜい十数人。ペーパーバックを読んでいる人のほうが多い。

   アメリカでもKindleの売れ行きが鈍り、デジタル本の市場も伸び悩んでいるといわれるが、こんなところにも現れているようである。

   トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と正式に認めたため、ハワイでも厳戒態勢が取られているかと思ったが、入国も、人の集まる場所にも、警察や銃を持った人間の姿を見かけなかった。

   向こうでもdマガジンで週刊誌が読める。先週の週刊文春も週刊新潮も巻頭は貴乃花と相撲協会の「場外乱闘」の特集だった。

   日本を離れてみると、いつまでこんな話を追いかけているのかと、読む気にならない。

   だが、今週も飽きずに同じことの繰り返しである。批判の相手が日馬富士から相撲協会、貴乃花、そして今は白鵬へと変わっているだけだ。

   ようやく協会の事情聴取に貴ノ岩が応じたようだが、貴乃花は相も変わらずだんまりを決め込んでいる。

   この日馬富士殴打騒動があぶり出したのは、相も変わらぬ弟子や後輩たちへの「可愛がり」と称する不条理な暴力の存在と、相撲協会のガバナンスのなさである。

   暴力の徹底した排除と八角理事長をはじめとする無能な協会トップたちは、ここまで事態をこじらせた責任をとり全員辞任すべきである。当然、貴乃花も同罪である。

   まったく新しい体制で一から出直し、相撲ファンの信頼を取り戻す策を早急に講じることだ。

   それに加えて、週刊誌の白鵬叩き、モンゴル力士叩きは、少し度を越してきているのではないかと危惧している。

   このままいくと、モンゴル人差別につながりかねない。

   昔、小錦というハワイ出身の人気力士がいたことを覚えている人は多いだろう。現在は帰化して、タレントとして活躍している。最高位は大関で、ついに横綱にはなれなかった。

   当時小錦はニューヨークタイムズのインタビューで、「自分が横綱になれないのは人種差別があるからだ。もし自分が日本人だったらとっくに推挙されているはずだ」と語った。

   だが、その発言に対するバッシングが激しく、小錦は一時自殺まで考えたといわれている。

   その後、後輩の曙や武蔵丸が横綱になったが、私が知る限り、それ以降ハワイ出身の力士が活躍したという話を聞かない。

   今回のハワイ島でも小錦のような体格の男性を何人も見かけた。以前だったら、そうした中から第二、第三の小錦が出てきたに違いない。だが、外国人力士に対する差別が日本の相撲ファンにあるとわかり、ハワイの人は相撲への関心をなくしてしまったのではないか。

   その後、モンゴルから来た力士たちが増え、今やモンゴル相撲といってもいい相撲界である。

   ニューズウイーク日本版で、南モンゴル出身の日本人コラムニスト楊海英が、こう書いている。

「ここ数年、国技館で観衆から起こる『モンゴルに帰れ』という罵声だ。これは横綱3人をはじめ大勢のモンゴル出身力士への排除姿勢の表れで、ヘイトスピーチと言える」

   楊は、相撲は興行としての性格が強かったもので、政治的なナショナリズムを帯びた『国技』としての性質を強調するのは危険だと指摘する。

「暴力は絶対否定すべきだが、同時に相撲ナショナリストによる言葉の暴力も許されない」(楊)

   モンゴル力士には品格がない、行儀がなっていないという批判は、各々の力士たちを預かり育てている部屋の親方にも向けられるべきである。

   帰化しなければ白鵬のような大横綱でも親方になれないというのは、時代遅れの考え方だと、私は考える。

   週刊新潮や週刊文春は貴乃花に肩入れしているように見える。貴乃花は白鵬の相撲はガチンコではないといいたいようだが、星の貸し借りだけで40回も優勝できるはずはない。

   週刊新潮は白鵬に対して、「いずれにせよ、『万歳演出』『モンゴリアン・チーム』ジャージと、彼の行動に『日本の魂』を見出すことは至難の業だ」と書いて

いる。

   私には、日本人力士が「日本人の魂」を持っているとも思えない。第一、日本人魂とは何のことを指しているのか、さっぱりわからない。

   貴乃花もモンゴル力士を嫌うだけでなく、相撲道とはこれこれだと、彼らに具体的に説くべきである。沈黙を決め込むことが日本人魂だというのではあるまいな。

東京地検特捜部長に期待

   森本宏・東京地検特捜部長が注目を集めている。スパコン開発会社の詐欺容疑と、リニア中央新幹線をめぐる大手ゼネコンの独占禁止法違反にメス入れようとしているからだ。

「公共事業ではないものの、どちらも多額の公的資金を投入しており、官邸はピリピリムードで捜査の行方を注視しています」(検察関係者・文春)

   この人物、東大に行ける学力がありながら、司法試験に専念すると高校時代から準備していて、名古屋大在学中に唯一現役で司法試験を受かったという。

   オリンパス粉飾決算事件や徳洲会の公選法違反事件などを手掛け、「捜査と法務行政双方に精通する森本さんの手腕に大きな期待が寄せられている」(別の特捜関係者・同)

   週刊新潮のグラビアに森本の姿が載っているが、なかなか目つきの鋭い硬骨漢と見た。

   とくに、スパコン開発会社の詐欺容疑は、安倍首相のモリ・カケ問題と同じ構図のようだ。

   こちらは麻生副総理がからんでいると週刊新潮が報じている。逮捕されたのは『べジーコンピューティング』創業社長齊藤元章容疑者。血税が100億円も投入されていたようだというのである。

   齊藤は麻生の名前を出し、麻生も国会内外でベジーを持ち上げる発言をしていたという。

   だが、スパコンに詳しい技術者によると、

「齊藤のスパコンは省エネ世界一などと誇っていますが、しょっちゅうシステムエラーを起こしてしまう。熱くなって暴走し、稼働しない時間が長い。だから、とても実用化できないと敬遠されていました」

   そんなベンチャーに血税をジャブジャブ注ぎ込んだのはなぜか。

   国から出た100億円超のうち、約60億円は科学技術振興機構(JST)が融資を決定した。

   ここは文科省の外郭団体。融資の経緯を聞くと、昨年8月に閣議決定された『未来への投資を実現する経済対策』の趣旨にのっとり、緊急募集分は10月2日に締め切った。

   この募集期間はたった14日間しかなく、公募募集の説明会は正味2日しかなかったそうだ。

   こうしたやり方は変だと、JSTの関係者も話している。

「緊急募集の要項は152ページあり、かねてより準備をしていなければ、あるいは、緊急募集が行われることを前もって知らなければ対応するのは難しい。それを乗り越えてどこが応募できるのか、誰のための募集だったのか、改めて考えるべきでしょう」

   結果、齊藤ともう1社のみの応募しかなく、2社とも融資を勝ち取った。事業が成功すれば全額返済、失敗すれば支出額の10%だけの返済でいいという好条件で、それも無利子だそうだ。

   週刊新潮によれば、齊藤には詩織さん準強姦疑惑で有名になった山口敬之元TBS記者がくっついていて、彼が麻生を紹介したのではないかといわれている。

   文科省OBの寺脇研はこういう。

「額が大きいですから政治マターでしょう。最大限悪く取ると、官邸トップのお友だちだからこれだけの額の融資が決まったんじゃないのと言われても仕方がない。更に、ああいう書類はそう簡単に出せるものではない。加計学園問題の時も似たようなことがありました。京都産業大学には絶対に間に合わない準備期間が設定されていたということと同じじゃないかと疑ってしまいます」

   森本特捜部長よ、巨悪を眠らせてはいけない。ああ、懐かしい言葉だ。

勝ったのは船越英一郎

   ところで、今年のお騒がせ女といえば、豊田真由子元議員と松居一代を挙げるだろう。 その松居がめでたく船越英一郎との離婚を勝ち取ったと、記者会見を開いてガッツポーズをしたそうだ。

   だが週刊文春によれば、「謝罪なし」「財産分与なし」の決着では、勝ったのは船越のほうだそうだ。

   松居の財産は30億円ともいわれる。会見でも「何が一番大事なのかを考えた中で答えは一つでした。財産です」と答えて、報道陣を唖然とさせた。

   だが船越サイドは、警視庁北沢署に名誉棄損の告訴を行っており、受理されているそうだから、こちらが成立すれば懲役や罰金、逮捕もあり得るそうである。

   まだまだ松居劇場の第二幕、第三幕があるかもしれない。

   私が日本を飛び立った日に野村沙知代が亡くなった。85歳で亭主の野村克也より3歳年上だった。

   案の定、悪口ばかりが週刊誌に載ったが、私にはとてもやさしい、いいお婆ちゃんだった。

   何度か2人だけで食事をした。彼女もノムさんも飲まない。テレビのようではなく、静かな話し方だった。

   博覧剛毅とまではいわないが、いろいろなことを知っていて、特に行儀や冠婚葬祭に詳しかった。そこで私がプロデュースして『新・冠婚葬祭入門』(祥伝社新書)を出した。

   その書き出しにこうある。

「人生で一番大切な原点は、家庭。"安全・安心・安住"という、人生の3つの柱を与えてくれるのが家庭で、そこからすべては生まれます」

   本質的には家庭的な人だったと思う。大監督のノムさんが頼り切っていた。あれほど仲のいい夫婦を見たことがない。ご冥福を祈る。

アマゾンの新サービス

   先に、Kindleが売れていないといったが、日本のアマゾンは順調に売り上げを伸ばしているようで、週刊現代によれば、16年の売り上げが約1兆を超え、18年にはイトーヨーカドーの売り上げを抜くといわれているそうだ。

   アマゾンは、まだ地域が限定されてはいるが、『アマゾンフレッシュ』というサービスを始めた。アイテム数は10万点で、最短4時間で家に届けてくれる。

   これに危機感を覚えたイトーヨーカドーやイオンが、対抗して同様のサービスを始めると週刊現代が報じている。

   しかし、アマゾンはその上を考えていると、立教大学の田中道昭教授がいう。

「彼らが狙っているのは生鮮食品から宇宙旅行まで、ありとあらゆるモノやサービスを販売する『エブリシングストア』になること」
 

   こうしたサービスが広がれば、スーパーマーケットは閑古鳥が鳴き、姿を消してしまうかもしれない。ITのできない高齢者の飢死が深刻になるかも知れない。

   これもハワイでのことだが、朝、家の前のゴルフ場を眺めていたら、凧揚げならぬドローン揚げをしている若いカップルがいた。

   スーパーでは、安いものから高いものまでいくつものドローンが売られていた。

   アマゾンで注文したものをドローンが運んでくる時代もすぐそこに来ている、そう実感させられた。

   アップルやグーグルがなくなっても、アマゾンは生き残るだろう。本や食という、人間になくてはならないものに特化し、新たなサービスを次々に推し進めている。

   もはやイオンやヨーカドーが適う相手ではないと思うが、このままアマゾンが繁殖し続けることに不安を覚えるのも事実である。

元木昌彦プロフィー ル
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年 まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊 編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日 本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地 で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死 ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス) /「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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