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成人の日に雲隠れした振袖業者 見かねた同業者が着物と着付けを行なう支援の輪に救いが

   成人の日の8日(2018年1月)、横浜や東京で予約していた振袖が着られない前代未聞の事態が相次いで起き、途方に暮れる新成人から「晴れの日を台無しにしてくれた」と怒りの声が噴出した。

   異変があったのは、横浜市中区に本部のある振袖の販売やレンタル、着付け、記念写真撮影を手掛ける「はれのひ」。

   横浜店のほか東京・八王子店、茨城・つくば店、福岡天神店などを展開しているが、成人の日当日に突然店を閉じ、経営者が連絡を絶って雲隠れしてしまった。

急きょ自宅に戻り、母親の振袖を持って何とか成人式に

   横浜では成人の日の当日、「はれのひ」が着付け会場として予約をしていた市内のホテルに約200人の新成人が訪れたが、「はれのひ」からはスタッフが誰も姿を見せず、振袖も届かないありさまに女性たちが困惑。近くの交番に約80件もの被害相談が寄せられた。

   母親と同伴でホテルに着付けに来た新成人の女性は「着物が手元にないので成人式には出ません。両親には申し訳ないのですが...」。

   また別の女性は「2年前に営業の電話があり丁寧な対応だったので、気に入りレンタルの予約をしました。ところが8日、着付け会場に来て振袖がないのを知り、急きょ自宅に戻り母親の振袖を持って近所の美容室に行き、何とか成人式に間に合いました」。

   その母親によると「何が何でも成人式には出してあげたい。このまま家に帰らせるのは可哀想すぎるし、とりあえず式だけは出られたからよかった。レンタルで着物が30万円、写真などもろもろで10万円ぐらい払いました。成人式の当日に、人としてどうなんでしょうかね」と憤る。

   横浜で取材をした大竹真リポーターは「振袖を用意できずに成人式にも出席しないで、そのままお母さんと肩を落としながら家に帰る人が何人もいたんですよ」という。そんな中で横浜では見かねた別の業者が振袖を用意し着付けやヘアメークなどを行ない、支援の輪が広がったのが救われた。

   また福岡天神店では、今年に入って社長とは一切連絡が取れない状態の中で、従業員が自主的に新成人に対応したところもあった。

   コメンテーターの菊池幸夫弁護士によると、「『はれのひ』に最初からだますつもりがあれば詐欺罪、だます意図がなかった場合は経営破たん」という。

   しかし、成人式当日になっても顧客の新成人に何も知らせず社長が雲隠れでは、経営破たんでは済まされない。司会の加藤浩次も「相当悪質だなと思いますよ」。