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海苔が不作で値上がり 原因は海がきれいになりすぎたから?

   毎日の食卓に欠かせない海苔に異変が起きている。海苔の卸値は4年連続で上昇。5年間で約1.5倍になった。築地の店でも、「やむなく値上げさせてもらっている」という。品薄になれば、値が上がるのはものの道理だが、その原因が、「海がきれいになりすぎたから」となると、ちょっと考え込んでしまう。

   「モーニングショー」は、江戸前海苔の産地、千葉・富津を訪ねた。早朝6時に、沖の海苔網に着く。海苔の着き具合を見ても、格子状の網がはっきり見える。本来なら、真っ黒なはず。2015年が最悪で、やや良くなっているというが、「以前に比べたら、全然少ない。味はいいんだけど......」という。

九州の有明海だけが増えている謎

   この日の収穫は、例年の半分だった。「海苔に必要な栄養素がだんだん海から失われていっている」と養殖業者は嘆いた。

   その理由を鈴木輝明・名城大大学院特任教授は「水清ければ魚棲まず、と言いますけど、きれいな海と豊かな海は、実は違うんです。きれいにするのは、あるレベルまではいいけれど、度がすぎると、栄養素の少ない、痩せた海、透き通った海になるわけですよ」と説明した。

   要するに、海がきれいになりすぎて、海苔などの生育に必要な栄養素が減ってしまったというのだ。これは全国的な傾向で、各地で海苔が減っているのだが、中には増えているところがあった。九州の有明海だ。佐賀市が数年前から始めた秘策があった。

   佐賀県は有明海苔で有名。海苔の生産量は全国1位。昨年(2017年)12月中旬に取材した映像があった。海苔網を引き上げると、網が海苔で真っ黒、ふさふさだ。船に引きあげると、ぐっと船体が沈み込んだ。「味もいいよ」

   野上慎平「水質改善が進んだら、栄養素が減ってきた。その仕組みをご説明します」

   高度成長期は、水質の悪化が深刻だった。そこで生活排水、下水処理場に基準を設け、リンを除去した排水を海に流していた。そのうち下水処理の技術が進み、どんどんきれいな水になっていったが、結果的に有明海の海苔が減った。

   そこで佐賀市は2007年冬から、季節別運転管理を実施。水質基準内でリンの除去を少なくした結果、海苔がまた戻った。先の「真っ黒、ふさふさ」はその結果というわけだ。実は、昨年10月の時点で、瀬戸内海や三河湾など35か所で実施しているという。

   東京湾では、栄養素が減って、海苔だけでなく、他の海草も減った。魚が食べる海草が少なくなって、魚が養殖の海苔を食べるようになったため、ますます海苔が少ないという状況なのだそうだ。

   羽鳥慎一「きれいにしすぎちゃダメなんだ」

   玉川徹「そんなに海、きれいかなぁ」

   石原良純「一頃よりはきれい。近づくのも嫌だった時期がある」

   そうか、東京湾はでかいし、多くの自治体にまたがるから、佐賀市みたいに、簡単に調整がきかないのかな。

   野上が「間も無く恵方巻きです」という。あんなもの、大阪の一部の習慣だよ。関東では誰も知らなかったのにね。