2024年 4月 20日 (土)

電力大手の送電線の利用はたった20% 「容量は満杯」と言っていたのに?

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   電力大手10社の基幹送電線の運用状況は、平均で約20%にすぎないことが、研究者の調査でわかった。日本の自然エネルギーの普及が欧米より遅れている理由の1つが、送電線の「空き容量不足」だったが、普及阻止のため、電力会社が嘘をついていた疑いが濃厚になった。

   風力や太陽光発電などの自然エネルギー事業者は、大手電力会社の送電線を利用して送電する。しかし電力会社は、送電線の空き容量がないことを理由に、送電線増設のためとして多額の工事負担金を要求している。このため、事業を断念するケースもあり、日本の自然エネルギー発電の普及を遅らせる大きな要因となってきた。

「自然エネルギーを発達させないためのウソ」

   調べたのは、京都大学の安田陽・特任教授(再生エネルギー)。大手10社の基幹送電線の年間最大運用容量と実際の運用とを調べたところ、利用率は平均で20%だった。

   安田教授の聞き取りに対して、電力会社は、「原発再稼働など既存の発電施設が動くことを前提としている」と言っているという。日本の原発は、2011年の東日本大震災と福島原発事故以来、ほぼ止まったままだった。

   羽鳥慎一「80%は空いていたのに、自然エネルギー事業者が使いたいと言っても、『空いていません』と言っていた」

   青木理「驚きですね。こんなに余っていたとは知らなかった。あえて電力会社の立場に立ってみると、原発を再稼働できないとただの負の遺産になっちゃう。だから、できるだけ自然エネルギーというものが発達しないようにしておくという思惑が出た」

   羽鳥「発送電の送電も電力会社が持っているから......」

   青木「発送電の分離は2020年とされる。送電をきちんと分離して独立性の高いところにさせれば、こんなことにはならない。どれだけ分離できるか」

   羽鳥「これだと、自然エネルギーは広まらない」

   菅野朋子「緊急用に空きを確保するのはわかるが、80%はいらない。これ費用分担の話ですから、自然エネルギー事業者も自己負担では参入できない」

   羽鳥「電力会社は原発再稼働が前提だと、空容量からわかる」

   玉川徹「全体最適に遠い国だと思う。空いているからと自然エネルギーを入れると、原発いらないという話になりかねない。それが本音。再生可能エネルギーの利用は、ドイツでは30%を超えている。スペインでもそうだし、イギリスは25%、日本は15%だけど水力発電を入れての数字。世界ではスケールメリットもどんどん安くなっている。太陽光なんか2020年には半分くらいになると言われている。さあ輸出となった時、日本は勝てません」

   青木「送電線網というのは、電気料金で作ってきた、ある種の公共財なんですね。だから、こんな状況を怒らないといけない」

   NTTの時と一緒。あれも回線は、公共財なのに、自分たちのものだとして、新規参入者から高い回線料をとっていた。親方日の丸の系譜だね。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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