2018年 10月 22日 (月)

<はじめてのおもてなし> 難民がわが家に居候!?「偏見」と「差別」・・・頭では分かっていても気持ちが付いていかないドイツ一家の涙と笑い

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   ミュンヘンの高級住宅地に暮らすハルトマン一家は、それぞれが自分のことで頭がいっぱいだ。元教師の妻は退職後の空白を埋めるべく社会活動に目覚めた。外科医の夫は引退を拒み、若作りのためにプチ整形に余念がない。長男は金儲けに走り上海の重要案件が進行中。長女はアイデンティティを探す30代の学生で、おまけにストーカーに追われている。

   一家は母の決意でアフリカからの難民を受け入れ、ナイジェリア人のディアロとの共同生活が始まる。ディアロはすぐに一家になじむが、自分のことに関しては口をつぐむ。悲しい過去を持つディアロとハルトマン一家の出会いは、壊れかけた家族に笑いと涙を与えていく。

   サイモン・バーホーベン監督が迷えるドイツの実像を、コメディタッチで描き、2016年度のドイツ映画興行収入ナンバーワンの大ヒットを記録した。

  • ©2016 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG / SENTANA FILMPRODUKTION GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH
    ©2016 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG / SENTANA FILMPRODUKTION GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH

メルケル首相の難民受け入れ政策への戸惑い

   メルケル首相による積極的な難民受け入れ政策は国際世論の支持を得ているが、100万人以上の難民が押し寄せ、さまざまな問題が起こるべくして起こった。「難民に対して偏見を持たない」というドイツ政府が掲げたスローガンが建前であることは、みんな気付いている。

   難民と聞いて、どうしても人は偏見を持ってしまう。さらに「難民の衣食住を引き受けて下さい」と言われたら、即答などできるはずがない。この映画は世界が抱える「本音と建前」を、ミュンヘンのありふれた家族を通して描いている。保守的な夫は難民の受け入れに反対的だったが、勤務先で差別主義を批判されると、鬼の首を取ったように「難民を受け入れた!」と反撃する。本音と建前を露わにする名シーンだ。

迫害に直面して立ち上がった一家「同居人を守ろう」

   ディアロはハルトマン一家が家族の絆はおろそかにしているのが信じられない。彼らに精神的な豊かさを説いても理解してもらえない。しかし、己の考えを押し付け合っていたハルトマン一家は、ディアロとの共同生活で物質的な豊かさと精神的な豊かさが相反することに気付く。

   難民の受け入れに反対する者たちがディアロを迫害しようとしたとき、ハルトマン一家はこれを退けようと、みなで力を合わせて立ち向かう。損得勘定抜きに人のために行動する「おもてなし」が、人生の醍醐味であることもこの映画は教えてくれる。

          

丸輪太郎

         

おススメ度☆☆☆

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