2024年 4月 25日 (木)

<ドラマ25「MASKMEN」>(テレビ東京系)
斎藤工が謎の覆面芸人としてお笑いに挑戦! バイきんぐ小峠の的確すぎるアドバイスで、行き詰まったプロジェクトに一筋の光明が

   人気俳優の斎藤工が肩書きを捨て、芸人に挑戦するドキュメンタリードラマ。野性爆弾・くっきーがプロデュースをお願いし、本人だとバレないよう、新人の覆面芸人「人印(ピットイン)」として斎藤が本気で笑いを獲りに行く姿を追う。今回はシリーズの折り返し地点となる第6話。

   これまでの回で、吉本興業の養成所(NSC)に1日体験したり、ストリートやライブでネタを披露したりしてきたが、やはり余りウケない。ネタは、覆面で斎藤工と正体とバレないようにする制約もあるため、くっきーの世界観が全開。くっきーの声と、作曲した音楽にのって、斎藤は動くだけで、斎藤の台詞も呼吸音の「シュコー」という言葉だけ。アートっぽくはあるが、芸人としてまるで操り人形のようになっていた斎藤は「別に人印が斎藤工じゃなくてもいいじゃないか」と気づき、一旦互いに距離を置くことになってしまう。この第6話ではお互いそれぞれ別の活動で「人印」に取り組む様子が映し出された。

「人形がシュールなことをやっても伝わらない」

   斎藤工は、バイきんぐ・小峠英二にアドバイスを求めることに。バイきんぐは、2013年に斎藤がMCを務めた「日10☆演芸パレード」(MBS系)という番組ではじめてコントを共演し、お笑いの師と仰ぐ存在なのだ。小峠は、ネタのVTRを見て「(実際はスベっていたが)くっきーさんがやったら、滅茶苦茶ウケるだろうねー」と笑う。さらに観客がくっきーと判った上なら覆面を被っていてもウケると言う。

   ここから小峠の感想は事の核心に迫る。「誰が入っているかわからない状態で、これをやっても、まあウケないよねー。それは、なんだろうねー...、人を感じないね」。さらに、「結局、コントも漫才も、役者さんも多分そうなんだろうけど、人が面白いかどうかだから。それは表情であったりとか、声であったりとか、動きであったりとか。これってやっぱり人形だもんね。人形がなんかシュールなことをやっているから、結局何も伝わってこないよね。」

   斎藤だけでなく、今までずっとこの「人印」の悪戦苦闘を見続けた私たちにとって、なんとも唸らされる発言である。

   また、くっきーときちんと話し合った方がいいと小峠はアドバイスし、「工くんの笑いが全然入ってない。そこの部分をもう少し擦り合わせるというか。(そうじゃないと)やっている方もノってこない」と続ける。確かに今まで斎藤も、くっきーに全部丸投げしている部分があり、くっきーはくっきーで、自分のやりたいことをただ斎藤にやらせているだけにも見えた。

「くっきーのイカレた世界観を取り入れた斎藤工はワクワクする」

   しかし、くっきーに頼んだのは失敗だったというかというと、小峠は「普通のピンネタをやったところで、面白みがないんだよね。それはそれでウケたところで、見ている人は正直あんまりワクワクしない。『斎藤工、器用だなー、お笑いもできるんだ』ぐらいの。くっきーさんとやって、あの人のイカれた世界観を取り入れた斎藤工ってなった時は、やっぱワクワクするもん。それは相当高い所(レベル)にあるんだろうけど」と語る。やはり最初の選択は間違っていなかったのだ。

   一方、くっきーも自ら「人印」の中に入ってストリートでネタをやったり、家族と遊んだりすることで、お笑いを見つめ直したりする様子が描かれ、互いに大いな成長が見られる回だった。

   このミッション自体は少し突飛だが、それに挑む斎藤とくっきーの姿は極めて真面目で、リアリティをひしひしと感じる。この番組しかない設定を設けることで、視聴者も、どのドキュメンタリーよりもフラットな目線で、ドキュメンタリーの真髄でもあり、まさに今回小峠がアドバイスした内容にもあったような、「人間」の生き様を見て取ることができる、そんな番組だと思う。

(放送2月16日25時02分~)

鯖世 傘晴

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