2018年 8月 22日 (水)

<人生デザイン U-29>(NHK・Eテレ)
「銭湯の番頭兼イラストレーター」どん底に落ちて見つけた自分の居場所と生き方

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   東京は高円寺、純情商店街を抜けて道を曲がったところに、「小杉湯」はある。創業84年、壁のタイル画は立派な富士山。昔懐かしい銭湯だが、銭湯フェス、銭湯落語など新しい試みにも貪欲だ。

   今回、その「人生デザイン」を覗かせてくれるのは、小杉湯の番頭兼イラストレーターとして働く塩谷歩波さん、27歳。SNS全盛期の時代に、銭湯のウィークポイントは「写真がとれないこと」と語る3代目オーナー・平松さんに請われ、小杉湯の張り紙、パンフレットなどのイラストを描いている。入浴方法の説明イラストも、月ごとの季節風呂の宣伝ポスターも、すべて彼女の作品だ。

   塩谷さんが小杉湯に勤めはじめたのは1年前のことだ。以前は建築業界で働いていた。幼い頃から家の内装を画に描くことが好きで、大学では「街並みの色彩」を研究し、大学を出て最初に就職したのは建築事務所だった。望んだ仕事だから、無理をしてでも働き続けた。「同期の誰よりも活躍したかった」と当時を振り返る。

   しかし、がむしゃらに働いたためか、体はじわじわ弱っていった。ほどなく機能性低血糖症で休職を余儀なくされた。そんな自分を「ごくつぶし」としか思えなかった。

自分のペースで「楽しんで描く」生活

   どん底まで気持ちが落ち込んだ塩谷さんを救ったのは、銭湯だった。治療の一環として、体を温めた方が良いと医者に勧められ、足を運んだところ、思い思いに湯を楽しむ人の姿に「ここにいていいんだ」と許された気がしたと話す。

   銭湯めぐりはそのまま生きがいであり、趣味となった。あるときツイッターに銭湯のイラストをアップロードした。知り合いではない人を含め、12件の「いいね」がついた。注目してくれている人がいる。ぽっと力がわいた。嬉しくて、次々描いた。そのイラストを見た平松さんから、イラストレーター兼番頭として、小杉湯にスカウトされた。掃除をしたり、接客をしたりする合間の時間で、イラストを描く。少しでも創作の時間が余分にとれるよう、銭湯のすぐ横に引っ越した。体を壊したときの辛さを知っているから無理はしない。今は自分のペースで、「楽しんで描く」生活を肯定できていると言う。

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