2018年 8月 20日 (月)

今週もうなった「週刊朝日」東海林さだお名コラム ―「いきなり!ステーキ」の店名が「立ち食いステーキ」だったら・・・

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   コラムは週刊誌の顔である。週刊現代ならば伊集院静、週刊文春なら林真理子、週刊新潮は藤原正彦、週刊ポストはビートたけし。週刊朝日の東海林さだお「あれも食いたいこれも食いたい」は今週号で1497回である。今でも名コラムといわれるものに、山口瞳の「男性自身」(週刊新潮)がある。テーマは旅から交友録、競馬の話までと幅が広い。

   東海林のコラムは食べ物だけに限定している。それを毎週書き続けるというのは並大抵のものではないだろう。今週も手本にしたいほどの名文である。書き出しはこうだ。

   <何をするにしても"いきなり"というのはよくない。いきなりで物事がうまくいったためしがない。

   物事には順序というものがある。何をやるにしてもまず入念に下調べをし、準備を整え、手順を踏み、これまでの前例を調べ、リハーサルを経てから事を行えば大体うまくいく。(中略)

   たとえば結婚。いまはできちゃった婚などという結婚もあるが昔は厳格な手続きが必要だった。まず見合いというものがあった>

   結婚からTOKIOの山口のキスの話へと広がり、財務省・福田次官の「いきなりオッパイ」につながる。

   <人はいきなりで失敗する。いきなりで人生に躓く>のだが、いきなりで成功した人もいると、昨今評判の店「いきなり!ステーキ」へと結び付ける。結びは<もし『いきなり!ステーキ>が「立ち食いステーキ」だったら・・・>

   結びで大事なのは「余韻」だと、読売新聞「編集手帳」を担当していた名コラムニスト竹内正明が『「編集手帳」の編集術』(文春新書)で書いている。竹内はコラムの理想形として「之字(のじ)運動」をあげている。

   戦争中、海軍が敵の魚雷を避けるために「之」に似たジグザグ航法をとったように、どこに向かっているのか書き出しを読んだだけでは本題がわからない書き方を心がけているというのである。

   東海林のコラムを読むだけで400円を払う価値がある。

私はカルロス・ゴーンに殺されかけた!妻の驚愕告白―週刊文春がレバノンまで行ってスクープ

   さて、週刊文春からいこう。今週の巻頭特集は「夫カルロス・ゴーンは私の首を絞めた」と、ゴーンと30年夫婦だったリタ前夫人が激白している。ゴーン(64)といえば、日産自動車をV字回復させ、ルノーのCEOにまで上り詰めた、その世界では生きるレジェンドである。

   レバノン系ブラジル人のゴーンとレバノンで生まれ育ったリタが結婚したのは1985年。フランスのミシュラン・タイヤの研究開発室長だったゴーンが、南米ミシュランのCOOに就任した時だった。その後、ルノーからヘッドハンティングされ、徹底したコストカットで利益を生み出し、99年に日産のCOOとして来日した。

   そんな夫を、リタは「カルロスはとても頭が良い反面、普通の感情が欠落しているような男性」だと評している。彼女も日本でレバノン料理店を開き、仲睦まじい夫婦だと思われていたが、内実はまったく違っていたというのである。

   リタの不信感が芽生えたのは2010年の1月。夫はITが苦手だそうで、パソコンなどの不具合があった時は彼女が直していた。そんな時、「カルロスと女性の怪しげなメールを見つけてしまった・・・。夫は私の知らない米国人女性やドバイ在住の日本人女性、そして後に再婚するキャロルと"不倫"をしていたのです」

   そのうえ、夫の姉が「リタが精神病だという診断を出してもらうよう、リタの医師に相談しては」というメールを送っていたことも知ることになる。

   私にも経験がある。カミさんにパソコンを見られ、メールで某女との仲を知られたことがあった。絶対、カミさんに財布とパソコンは触らせてはいけない。

   だが、それ以前から夫婦仲は崩壊していたようである。05年にはブラジルで乗馬をしていた時、崖の近くで、夫が彼女の馬を脅し、落馬しかけたことがあったという。

   彼女が、メールを見た、不倫をしていたのねと告げると、夫は「お前は嘘つきだ。気が狂っている」と罵倒し、夫婦で飲んでいた睡眠剤を多めに飲むことを「促され」たという。どうやら強制的に飲まされたのではないようだが、昏睡状態になり、知り合いの医者が訪ねて来てくれて、救われたそうである。

   その後も、電話で優しい言葉を囁いたりする一方で、「君は自殺したいといつも言っている。部屋に弾の入った銃があるから、私や子どもに迷惑をかけずにいっそ人生を終わらせたらいい」と、いうことがあったという。

   夫婦仲が悪くなった真の原因が何なのか、読む限り詳らかではないが、外の世界で剛腕を見せつけ権力者への階段を上がっていくうちに、夫婦間の溝は大きく広がり、修復不能なところまでいってしまった。

   離婚を考えた夫人は、弁護士から録音を取るようにいわれた。それを夫に告げた時、「いつでもお前を滅ぼすことができるんだ」「早く殺すべきだった」とわめきながら彼女に襲いかかり首を絞めたという。12年には複数のクルマにつけ回され、事故で脇腹を骨折し、3か月も安静にしていなければならなかった。

   その後、フランスで離婚の手続きが始まった。当然ながら、財産分与で揉めるが、何とか15年6月にフランスでの離婚が成立する。そしてゴーンは約1年後に、50歳のキャロルと再婚する。だが、ゴーンの故郷のブラジルでは、今年3月に役所へ離婚申請したばかりだから、2人はまだ結婚状態にあり、重婚状態だとリタは主張する。

   それはともかく、ゴーンは、離婚が成立する前からさまざまなレセプションにキャロルを連れて行ったが、登録されていた名前は「リタ」だったそうである。

   世界でも指折りの大富豪の家庭内DVを赤裸々に語った前夫人の告白は、衝撃的なものだ。欧米のメディアなら、大々的に取り上げ真偽をゴーン自身に質すだろうが、日本のマスメディアはどうするのだろう。見て見ぬふりか。ゴーン側の弁護士は、ゴーンは品行方正で、長年にわたりリタに苦しめられてきた。彼女は精神的に不安定で妄想に取りつかれていて、どんな作り話でも平気でするといいながら、彼女の虚偽の告白をもとに記事を掲載すれば、法的措置を取らざるを得ないといっている。

   レバノンまで記者を飛ばした週刊文春のスクープは、事実なら、世界のゴーンの信用を一気に失墜させるほど破壊力のあるものである。ゴーンはどう動くのか、それとも黙殺するのだろうか。注目である。

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