2018年 8月 22日 (水)

「心の便秘」が引き起こすマンションごみ部屋―きれい好きだった人が一転!足の踏み場もなく汚れ放題

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   「ごみであふれている部屋をどうにかして欲しい」

   ごみで足の踏み場もないマンション部屋の片付けの依頼が、家財整理業者や清掃業者に増えている。専門業者に聞くと、2014年度は421件だったが、17年度は772件にもなった。周囲に異臭や景観を損ねるごみ屋敷とは違うが、そこには「都会の孤独」があった。

   大手メーカーの係長の男性(30代)は、マンションの部屋は洗面所までごみの山だ。汚れ放題で、路上生活者の方がよほど衛生的に見える。もともと料理好きで、友人を呼んだりすることもあったが、5年前に新製品の開発プロジェクトのメンバーに抜擢されたころから、コンビニ弁当が多くなり、容器をレジ袋に入れたまま放置するようになった。

   「最初のうちは、床に物があるとストレスだなと思うようなタイミングもあったんですが、次には足の踏み場があればストレスにはならないなというタイミングがありました。そのあとは、自分が移動ができる状態になっていればストレスにならないとなって、いわば段階的に(許容範囲が)上がっていった」

   もともときれい好きで、マンションを友人とシェアしていた看護部長を務める女性看護師(40代)も、友人が引越しひとり暮らしになったのと仕事の変化をきっかけに、ごみマンションになったという。

   「今の世の中、患者さまが中心で、お客さま。クレームをネット上に投稿されたりもします。白衣の天使と言われても、人間ですから怒りもあります。やさぐれた気持ちというか、片付ける元気がなくなって、プライベートでは孤立を求めるようになりました」

   取材した鈴木裕貴ディレクターは、「みなさんに共通しているのは、職場で着ている服は定期的にクリーニングに出し、外出時にはパリッとしていることです。しかも、冷静に分析しているところが印象に残りました」と報告する。現役バリバリの働き盛り。職場のストレス、配偶者との離死別、夜勤、感情労働、介護など、理由が複合的に絡んでいるケースが多いという。

ストレスで片付ける元気喪失

   それにしても、なぜカビやダニが発生する食べた容器の入ったレジ袋や通販で購入した際のダンボールなど、ごみの山で暮らすのか。精神衛生が専門のハーバード大の加藤諦三・客員教授は「心理的な便秘です。その人の消化能力を超えた心理的な問題がたまった状態が引き起こすんです」と解説している。

   さらに進むと、「うつ状態、孤立死の心配があります。ストレスが原因でごみ山ができ、それがストレスになって、体の変調リスクが高まります。でも、若いと気付きません」と、元保健師でごみ屋敷やごみマンションの現場に詳しい東邦大の岸恵美子教授はいう。

   どうすればごみの山生活から脱却できるか。岸教授は「勇気を出して部屋をリセットすれば、脱却できる」と話す。気の合う友人でも親戚、近所の人でもいい。正月か誕生日に部屋に呼ぶ計画を立て、声を掛ければ必然的にリセットせざるを得なくなる。

モンブラン

NHKクローズアップ現代+(2018年5月16日放送「あなたの隣もごみマンション!? 現役世代に広がる"孤立"」)

文   モンブラン
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