2019年 11月 21日 (木)

「高度プロフェッショナル」成果評価の働き方改革なのか?ブラック勤務の合法化なのか?

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   安倍政権が今国会の目玉法案とする働き方改革関連法案が31日(2018年5月)、衆院本会議で賛成多数で通過した。反対している野党側が問題視しているひとつが、高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)だ。厚生労働省は、年収1075万円以上で高度な知識や技術を持った人は、時間に縛られずに柔軟に働くことができると説明するが、むしろ見えない拘束、ブラック化が強まるだけと反対も強い。

   「クローズアップ現代+」で高プロに賛成する竹中平蔵・東洋大教授と吉田浩一郎・クラウドワーク社長、反対する上西充子・法政大教授と棗(なつめ)一郎弁護士(日本労働弁護団幹事長)が議論した。

「時間に縛られずに仕事」「いや、残業代がなくなるだけ」

   武田真一キャスター「労働時間の規制を全面的に外すところが大きな転換と思いますが、制度をどう評価するか、基本的な立場からお聞きします」

   竹中「背景には、世界の経済、社会の大きな流れがあり、時間ではなく、成果で労働の質が認められなければいけないということです」

   吉田「少子高齢化の中で、イノベーションを起こして経済を活性化していかないといけないわけですが、高プロ制度はイノベーションの切り口になると思います」

   これでは経済優先で、働く側のことは二の次のように聞こえる。

   上西「これは労働基準法の改正で、労働者が労働法の外へ放り出される制度なので、反対です。使用者側の縛りを外してしまうという、基本的なところを理解してほしいですね」

   棗「高プロ制度の法律的な意味での本質は、専門業務型のホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制適用免除制度)です。法定労働時間制を適用しない、週休もない、休憩もない、残業代割増もない。使用者は24時間、年中無休のコンビニと同じように、労働者に長く働けという極めて危険な制度で断固反対です」

見えてこない「働く側のメリット」

   具体的な論点として、高プロは本当に多様で柔軟な働き方なのか、それとも長時間労働の助長に過ぎないのか聞いた。

   上西「多様で柔軟な働き方は間違いで、労働時間の規制を外せば、使用者は労働者に柔軟な働かせ方ができるというだけで、働く人からすると労働時間が自由になるわけではありません」

   竹中「この議論ではものすごく大事なことが抜けているんです。休みを強制するなど、すごい規制が課せられているんです。年間104日の休みが取れる。これ完全週休2日制ですよ。それに4週間で4日間の休みを必ず取れと規制している。そうしたバランスを見ないと誤ります」

   棗「4週で4日間休ませるというのも、4週28日として、4日間固めて休ませれば、24日間を24時間働けという業務命令が合法になるということです。ブラック企業が利用しないとも限らないですよ」

   吉田「自分の意志で主体的に同意した時に適用され、やめることもできます。あくまで選択肢を増やすに過ぎない。自分が成果を出したいという時にこれを選べる機動的な制度ではないかと思います」

   上西「選択肢というが、企業からこれを入れたい、同意してくれと言われたら断れないのではないでしょうか」

   議論は噛みあわないままで終わったが、法定労働時間を外すことが多様で柔軟な働き方と具体的にどう結びつくのか。世界の潮流だとかイノベーションの突破口とか、漠然とした賛成論では説得力に欠ける。労働時間の規制を外した労働者を作る。日本で前例のない制度だが、現段階では、社員に時間外の長時間労働をさせたい企業側の単なる法的責任回避としか見えない。

モンブラン

   *NHKクローズアップ現代+(2017年5月30日放送「議論白熱! 働き方改革法案~最大の焦点"高プロ制度"の行方~

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