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記憶失って7年・・・やっと身元がわかっても「もういいんです」何があったの?

   静岡・東伊豆町に7年間も記憶を失ったままの女性がいる。鈴木花江さんという仮名で、介護施設で暮らしている。「スッキリ」の探索で、ほとんど間違いないという名前にたどりついたのだが、本人はなぜか「もういいです」と言う。

   女性は2011年11月20日早朝、伊豆半島の伊豆急行・伊豆稲取駅の近くで倒れているのを発見された。雨の中だった。病院で目を覚ました時、名前も住所も家族も覚えていなかった。東伊豆町の手配で生活保護を受け、介護施設で暮らしている。そうじや犬の散歩とまめに働いている。

「スッキリ」の取材に知人は「2011年に失踪したあの人に間違いない」

   「スッキリ」は今年(2018年)3月16日の放送で、鈴木さんを取り上げた。かすかな記憶はある。結婚していた。夫の浮気で追い出した。子供はいない。趣味は生花。卯年で79歳。取材で思い出したこともあった。昭和37年に立川の諏訪神社で結婚式を挙げた(神社は火災で資料を消失)。

   放送直後から情報が寄せられたが、最も有力だったのは、千葉市若葉区愛生町のAさんからのものだった。愛生町で「やきとり富士」を営んでいた西村千恵子さんではないかというのだ。

   Aさんは西村さんと一緒に店をやり、お金を貸したこともあった。ところが、2011年8月、西村さんは家の鍵だけを残して姿を消した。伊豆で「鈴木さん」が見つかったのは、2011年11月だ。時期的には合致する。年齢も「卯年と言っていた」(Aさん)

   しかし、鈴木さんは西村の名前にも、千葉や愛生町という地名にも反応しなかった。ところが、「スッキリ」の2度目の取材で、「やきとり富士」の隣人が「西村さんに間違いない」と証言した。他の近所の人たちも「あんなに似ている人は他にいない」と断言する。

   26年前に「富士」で撮ったと写真には、カウンターの奥に西村さんが写っていて、専門家にデジタル解析をしてもらうと「かなり似てる」となった。しかし、伊豆の鈴木さんは、「似ていない」と否定した。「やきとり富士」にも、近辺の映像にも思い当たらなかった。

   ただ、鈴木さんに「あいおい」の地名を書いてもらったら、各地にある「相生」ではなく、日本でここにしかない「愛生」と書いた。愛生の隣の稲毛にも記憶があるという。

「元に戻っても何も変わらない。今の自分でいいんです」

   鈴木さんは「いろいろ思い出したい。覚えていてくれる人がいるのは嬉しい」と話すが、最後には「もういいです」という。どういうことか。「西村に変わっても何も変わらない。そっとしておいてほしい」。東伊豆町の7年で、新しい人間関係ができていた。「今の暮らしは楽しい。みんないい人ばかりだし満足です」

   キャスターの近藤春菜は「戸籍をとってみることもできるんですか」

   菊地幸夫(弁護士)「財産が関わるとか、選挙権とかありますね」

   司会の加藤浩次「過去を知りたくないという気持ちも、わからないではないですよね」

   身寄りがない人にはそうなるのかも。