2020年 7月 14日 (火)

夢の新薬、人工肉をあなたの手で 日曜大工感覚で手軽にできるバイオ技術の危険な最前線

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毎日酷使する現代人の目にビルベリー由来アントシアニン!

   ステーキ味のトマト、人工肉......。遺伝子操作などSFのような新技術を専門家ではない普通の市民が自宅や仲間の実験室で作り出す。こんな「DIYバイオ」の世界が、科学技術のオープン化や開発コストの値下がりで現実のものになろうとしている。

   都内の生物好きの高校生や会社員ら40人が集まるサークルがある。めざすのは動物を殺さずに食用肉を作る技術だ。

   外資系のコンサルタント会社に勤める杉崎麻友さんは、自宅のリビングで鶏肉の細胞培養に取り組む。専門器具はネットで購入したり、扇風機を遠心分離機代わりにするなど手作りしたり。「SF世界を実現する気分が魅力です。自分で未来を実現してみたい」と力が入る。

   こんな日曜大工のようなDIYバイオは、米国が最も進んでいる。米国ニューヨーク市で会社経営する男性は5年前から「この世にない植物をつくろう」と、自宅に実験室を設けた。たんぱく質をトマトに入れて、ステーキ味のトマトができあがったそうだ。

1万7000円で手に入る遺伝子解析キット

   今は、自然界にはない青いバラ作りに、遺伝子改変の技術を駆使してとりかかっている。青い貝の遺伝子をバラに取り込むつもりだ。米国では部屋から持ち出さない限り違反にならない。男性は「ネットですべてを学んだ。偉大な力を与えられた気持ちで、もっといろいろな新技術に挑戦したい」と意欲を語る。

   遺伝子を解析するコストは、この17年で8万分の1に下がった。実験器具も159ドル(約1万7400円)でひととおり揃うキットを誰でも購入できる。「ブロック遊びのようなもの」と、13歳の中学生までが参戦している。

   米国カリフォルニア州の男性、ジョサイア・ザイナーさん(37)は去年(2017年)、筋肉成長遺伝子を自分に注入する模様をネットに公開した。「いかに簡単に操作できるかを世に伝えたかった。すごいことじゃないか」という。

   こうした傾向に、米国医学界では「専門的裏付けがないやみくもな実験は、想定できない副作用のリスクがある」との懸念が広がる。自分の体を使う遺伝子実験に、米国ではまだ法規制がない。

   早稲田大学の岩崎秀雄教授(細胞生物学)は「人体実験はグレーゾーン。人に安易に勧めることはできない」と言いつつ、「一方で、バイオテクノロジーのデモンストレーションの面もある」と指摘する。

   科学を市民に開放するオープン・サイエンス。組織にとらわれない個人ならではの新技術や新製品につながる可能性もあることは確かだ。

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