<審判>
氾濫する情報に振り回され自分を見失ってしまったわれわれ・・・カフカで描く現代の不条理
2018.07.07 10:00
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無名役者を起用することでリアリティー
言うまでもなく、木村はわれわれのメタファーだ。自分の行動を決める選択権は自分が持っているとみな思っているが、実は目に見えない「情報」に管理されてしまっているのではないか。
東京のような大都市で暮らす人々が消費社会の中で、人間はいったい何のために生きているのかと問いたださなければ、ある日突然、人間の尊厳が失われかねないと監督は語っている。
予算など、制作に関わる事は筆者には分からないが、無名の役者を起用していることが、作品に絶妙な説得力を与えている。失笑してしまうような演出や、芝居や、安っぽい空間作りですら、迫真性を与えている。
丸輪太郎
おススメ度 ☆☆☆