2018年 11月 21日 (水)

「あっというまだった!」市街地を一気に襲った川の氾濫と土砂崩れ 最悪の豪雨被害はなぜ起こった?

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   西日本豪雨は平成に入り最悪の豪雨被害となった。NHKがこの「クローズアップ現代プラス」の放送段階で伝えた死者123人が、一夜明けた10日(2018年7月)にはもう132人を超えた。

   雨が強まり始めたのは6日夜だった。岡山県倉敷市真備町には午後10時40分、大雨特別警報が出た。7日午前零時すぎ「すごい。橋のすぐ下まで水が来た」と、車で逃げる住民の声がレコーダーに残る。零時30分、特別警報発表から2時間足らずで川が氾濫した。

専門家「台風以外にこれだけ広い範囲で強い雨が降ることに驚く」

   夜明けには川の堤防が100メートルにわたり決壊していた。市街地にあふれた水は住宅の床を超えた。「あっという間でした」と住民は言う。何をすればいいのかと呆然とした人が多かった。

   土砂崩れも各地で多発した。「バケツをひっくり返したようなというが、あんな感じの雨だった」と、愛媛県宇和島市の男性は振り返った。

   京都大学防災研究所の中北英一教授は「台風以外でこれだけ広い範囲で強い雨が降ったことに驚いた」と話す。1時間50ミリを超す雨が広範囲に長時間続いた。降り始めから72時間の雨量が全国119地点で、24時間の雨量が123地点で過去最多となった。各地で平年7月分の半分近い雨が一気に降った。

   一級河川を調べた中北教授は「治水計画の想定雨量を超えた水域もある。長雨で流域そのものが水分の飽和状態になり、危険な状況が続いたのが今回の特徴」という。

   まれに見る気象条件だった。

   名古屋大学の坪木和久教授(気象学)によると、梅雨前線が7月5日以降、ロックされたように動かなくなった。そこに西日本では湿った空気が入り、さらに南海上の台風7号から大量の水蒸気が送り込まれた。

   梅雨前線プラス大量の水蒸気の供給で線状降水帯ができ、「これまで経験がない」気象状態になったという。中北教授は「線状降水帯が同時にいろいろな場所で発生した」として、地球温暖化の影響を指摘する。「フェイズ(段階、局面)が少し変わってきています」と考えている。「今までの発想を変えた対策が必要ということですね」と武田真一キャスターは受け止めたが、具体的に何をするのかは示されず、社会全体が被害の前にまだ立ち尽くしている感じは否めない。

崩れやすい花こう岩が広く分布する西日本は今後も危ない

   広島県の土砂崩れ現場を調べると、大きな石がなく、小さな石ばかり。積もっていたのは細かい土砂の粒で、花こう岩が砕けたものとわかった。花こう岩は粉になりやすい性質があり、風化するとボロボロに崩れる。これが西日本を中心に広く分布している。九州から中国、四国、近畿地方まで土砂災害の危険は高い。「崩壊が起こりやすい場所が無数にある」(広島大学大学院の海堀正博さん)という。こうした土壌も被害を大きくした。

   そんな中で住民は復旧作業を始めなけばならない。10日からは猛暑が予想される。熱中症や狭い避難所生活でのエコノミークラス症候群に注意が必要だ。積もった泥が乾燥して巻き上げる砂ぼこり対策も求められる。中北教授の「早く避難を、新しい治水対策を」の指摘が切実な課題としてのしかかっている。

   ※NHKクローズアップ現代+(2018年7月9日放送「緊急報告西日本豪雨~被害はなぜ広範囲に及んだのか~」)

   文・あっちゃん

   

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