2024年 4月 26日 (金)

「週刊文春」編集長交代でどう変わる?スクープ連発でも部数減に歯止めかからず苦戦中

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   週刊文春が新谷学編集長から加藤晃彦編集長にバトンタッチ。新谷氏は週刊文春の歴史の中でも一時代を画す「新谷文春」をつくりあげた。数々のスクープもそうだが、そうした記事をパッケージにしてテレビのワイドショーなどに売るというビジネスモデルをつくりあげたことも、評価されていい。

   残念ながら、あれだけ注目を集める誌面をつくりながら、部数減には歯止めがかからなかったようだ。新谷編集長がいっていたように、ITを駆使して週刊文春というブランドの販路を広げていくことが、次の編集長にも求められるだろう。新谷編集長、お疲れ様でした。

   前任の編集長がやりたい放題やった後を受け継ぐ人は大変だろう。私も勝手気ままな編集長を5年半もやったから、次の編集長は相当苦労したようだ。加藤文春をどうつくり上げていくのか、じっくりお手並みを拝見しよう。

「麻原彰晃」死刑執行間際も頭ハッキリしてた?遺体引き取りに「四女」指定

   今週の週刊誌の特集記事には、私と関わりのあるものが多い。といっても、私の知り合いが逮捕されたというのではないが、懐かしい名前が出てきて、往時を思い出した。

   週刊文春に「坂本弁護士一家殺害犯6時間告白テープ初公開」というのがある。今回死刑が執行された7人には入らなかったが、岡﨑一明死刑囚が逮捕前にした告白を録音したテープを、ノンフィクション・ライターの武田頼政氏が書き起こしている。これは、私が編集長だった1995年、週刊現代の記者だった 武田氏に取材してもらって、巻頭特集として掲載したものである。

   当時、オウム真理教の被害者たちの守護神として、オウム批判の急先鋒だった坂本堤弁護士一家が忽然と消えてしまった。オウムの仕業ではないかという見方は根強かったが、遺留品も少なく、坂本氏、妻、そして幼い子供の行方は杳として知れなかった。

   粘り強い取材で定評があった武田氏は、オウムから脱退して山口県宇部市に住んでいた岡崎に会いに通い、岡崎から信頼を寄せられるようになっていた。この記事にあるように、電話で突然、「わしもその場にいたんじゃ」と打ち明けた。岡崎の話によると、村井秀夫(95年に刺殺された)、新實智光(今回死刑執行)、早川紀代秀(同)らと、深夜、坂本弁護士宅に侵入して、3人をポア(殺害)した。

   だが、岡崎は「自分はあくまでも見張り兼運転手役だった」(週刊文春)と、殺人には関与していなかったと主張していた。遺体を乗せた車を運転して、子供は長野県、奥さんは新潟県、坂本氏は富山県に埋めたといっている。そう武田氏から聞いた私は、実際にそのルートを通って現場へ行ってみてくれと、指示したことを記憶している。

   岡崎は仮名にしたが、この手記が掲載された週刊現代は評判になり、よく売れた。しかし、テレビのワイドショーなどに出ていたコメンテーターの中には、あんな手記はデタラメだ、だから週刊誌は信用できないなど批判する声もあった。

   そこで、私はこれを1週で終わらせてはいけない。この事件の真相が解明されたとき、やはり週刊現代の記事は正しかったと思ってもらえるようにと、編集部編として「坂本弁護士一家殺害事件」というブックレットを出した。先ほどAmazonを覗いたら、これが180円で売られていた。

   その後、岡崎は神奈川県警と警視庁の合同捜査本部に逮捕された。武田氏によると、岡崎は供述調書でこう述べているという。「私は、坂本弁護士の背後から、右手を前首に回して、確かパジャマみたいな寝間着の左の奥襟を掴んで締めました」

   自分も実行犯だったと自白している。麻原オウムが狂気の道を突き進むきっかけになった事件だけに、私にとっても思い出深い、そして武田氏のいっているように、彼らの死刑が執行されても、決して風化させてはならない事件である。

   週刊文春は、麻原の遺骨の引き取りを巡って、妻や娘たちの争いが起きていると報じている。骨肉の争いなどどちらでもいいが、大きな疑問がある。麻原が死刑執行間際に「(遺体は)四女に」と漏らしたというが、そうした判断ができ、話せるのなら、なぜ生かしておいて事件の全容を解明する努力をしなかったのか。メディアはここを追及すべきである。

   オウム事件は週刊誌の独壇場だったといっていい。とくに麻原や幹部たちが逮捕されてからは、警察や検察からは情報が出てこないため、独自の情報をどうとるか、週刊誌の現場は戦場であった。懐かしいといってはいけないのだろうが。

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