2018年 7月 17日 (火)

「週刊文春」編集長交代でどう変わる?スクープ連発でも部数減に歯止めかからず苦戦中

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   週刊文春が新谷学編集長から加藤晃彦編集長にバトンタッチ。新谷氏は週刊文春の歴史の中でも一時代を画す「新谷文春」をつくりあげた。数々のスクープもそうだが、そうした記事をパッケージにしてテレビのワイドショーなどに売るというビジネスモデルをつくりあげたことも、評価されていい。

   残念ながら、あれだけ注目を集める誌面をつくりながら、部数減には歯止めがかからなかったようだ。新谷編集長がいっていたように、ITを駆使して週刊文春というブランドの販路を広げていくことが、次の編集長にも求められるだろう。新谷編集長、お疲れ様でした。

   前任の編集長がやりたい放題やった後を受け継ぐ人は大変だろう。私も勝手気ままな編集長を5年半もやったから、次の編集長は相当苦労したようだ。加藤文春をどうつくり上げていくのか、じっくりお手並みを拝見しよう。

「麻原彰晃」死刑執行間際も頭ハッキリしてた?遺体引き取りに「四女」指定

   今週の週刊誌の特集記事には、私と関わりのあるものが多い。といっても、私の知り合いが逮捕されたというのではないが、懐かしい名前が出てきて、往時を思い出した。

   週刊文春に「坂本弁護士一家殺害犯6時間告白テープ初公開」というのがある。今回死刑が執行された7人には入らなかったが、岡﨑一明死刑囚が逮捕前にした告白を録音したテープを、ノンフィクション・ライターの武田頼政氏が書き起こしている。これは、私が編集長だった1995年、週刊現代の記者だった 武田氏に取材してもらって、巻頭特集として掲載したものである。

   当時、オウム真理教の被害者たちの守護神として、オウム批判の急先鋒だった坂本堤弁護士一家が忽然と消えてしまった。オウムの仕業ではないかという見方は根強かったが、遺留品も少なく、坂本氏、妻、そして幼い子供の行方は杳として知れなかった。

   粘り強い取材で定評があった武田氏は、オウムから脱退して山口県宇部市に住んでいた岡崎に会いに通い、岡崎から信頼を寄せられるようになっていた。この記事にあるように、電話で突然、「わしもその場にいたんじゃ」と打ち明けた。岡崎の話によると、村井秀夫(95年に刺殺された)、新實智光(今回死刑執行)、早川紀代秀(同)らと、深夜、坂本弁護士宅に侵入して、3人をポア(殺害)した。

   だが、岡崎は「自分はあくまでも見張り兼運転手役だった」(週刊文春)と、殺人には関与していなかったと主張していた。遺体を乗せた車を運転して、子供は長野県、奥さんは新潟県、坂本氏は富山県に埋めたといっている。そう武田氏から聞いた私は、実際にそのルートを通って現場へ行ってみてくれと、指示したことを記憶している。

   岡崎は仮名にしたが、この手記が掲載された週刊現代は評判になり、よく売れた。しかし、テレビのワイドショーなどに出ていたコメンテーターの中には、あんな手記はデタラメだ、だから週刊誌は信用できないなど批判する声もあった。

   そこで、私はこれを1週で終わらせてはいけない。この事件の真相が解明されたとき、やはり週刊現代の記事は正しかったと思ってもらえるようにと、編集部編として「坂本弁護士一家殺害事件」というブックレットを出した。先ほどAmazonを覗いたら、これが180円で売られていた。

   その後、岡崎は神奈川県警と警視庁の合同捜査本部に逮捕された。武田氏によると、岡崎は供述調書でこう述べているという。「私は、坂本弁護士の背後から、右手を前首に回して、確かパジャマみたいな寝間着の左の奥襟を掴んで締めました」

   自分も実行犯だったと自白している。麻原オウムが狂気の道を突き進むきっかけになった事件だけに、私にとっても思い出深い、そして武田氏のいっているように、彼らの死刑が執行されても、決して風化させてはならない事件である。

   週刊文春は、麻原の遺骨の引き取りを巡って、妻や娘たちの争いが起きていると報じている。骨肉の争いなどどちらでもいいが、大きな疑問がある。麻原が死刑執行間際に「(遺体は)四女に」と漏らしたというが、そうした判断ができ、話せるのなら、なぜ生かしておいて事件の全容を解明する努力をしなかったのか。メディアはここを追及すべきである。

   オウム事件は週刊誌の独壇場だったといっていい。とくに麻原や幹部たちが逮捕されてからは、警察や検察からは情報が出てこないため、独自の情報をどうとるか、週刊誌の現場は戦場であった。懐かしいといってはいけないのだろうが。

東京医科大・臼井理事長が嘯いた裏口入学相場「一人1000万円」

   文部科学省の事務次官間違いなしといわれていたエリート官僚が、受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。佐野太(58)、科学技術・学術政策局長だった。肩書だけを聞くと、なぜ事務次官候補だったのかという疑問が湧く。週刊新潮で文科省担当記者がこう解説する。この役所は旧科技庁系の人数を1とすると、旧文部系は3と圧倒的に多いが、官房長や次官はたすきがけでポストに就くから、同期にライバルがいない佐野は、3年したら次官になってもおかしくなかったというのだ。

   今回逮捕されたのは、週刊文春によると、<「東京医科大学に対し、文科省の私立大学支援事業の対象校に選定することの見返りに、次男を大学入試で合格させてもらったというものでした」(検察担当記者)>。問題になった、独自の取り組みをする大学へ助成金を支給するという制度は、選ばれると、年間2000万円から3000万円の補助金が最大5年間にわたって受けられるというものである。

   2016年に東京医科大は選考から漏れているが、17年は選ばれている。ちなみに、16年は加計学園系列の千葉科学大と岡山理科大学、17年には日本大学も選ばれているという。何やらきな臭いが。

   医大には裏口入学があるという噂はよく聞くが、東京医科大はどうなのか。ここは偏差値66・5、医師国家試験の合格率96・4%という、全国の医学部のなかで6位だというから、なかなかの狭き門である。1次試験はマークシートだから点数の操作がしにくいようだ。したがって「加点」が行われるのは2次試験だという。

   この大学には、どこでもいるように臼井正彦理事長というドンがいる。眼科医だが、どこかの首相のように、理事長職は2期4年までというのを自分から変更して、居座り続けていた。

   2次試験の委員会に理事長は出ないが、ランク付けをした「指示書」を子飼いの学長に渡し、これとこれは加点するように命じていたそうだ。臼井は、一人入れば1本だと嘯いていたという。1本は1000万円だそうだ。定員は75人だが、過去には20人以上の裏口入学を受け入れたこともあると同大学の関係者が話している。

   毎年、受験生の得点の一覧表が学内の教授会に配られるが、今年はなぜか一覧表に得点が記載されていなかったと、別の関係者が語る。<「一次試験の採点で、機械によって自動的に弾かれた佐野氏の息子さんを無理やり通過させたため、得点が発表できなかったのではないかといわれています。(中略)今回さらなる一線を越えてしまったと感じます」>

   呆れ果てるしかないが、肝心の佐野の次男は、安倍首相の出身校、あの成蹊高校を昨年卒業している。しかも、今年1月のセンター試験の直前に、家族でセブ島へ出かけていたそうである。親父に、勉強しなくても入れるといわれていたとしか思えない。

   その佐野容疑者だが、早稲田大学大学院理工学研究科を終了後に旧科技庁に入庁。出世ポストの総務課長を経て官房長というコースは、前川喜平前次官と同じである。山梨県出身の佐野は、県知事になろうと狙っていたといわれる。官から政界へ華麗な転身をと考えていたのかもしれない。それは彼の妻の影響ではないか。彼女は文部大臣を務めた小杉隆の長女だという。

お父さんは収賄、お婆ちゃんは詐欺・・・点数水増し入学の息子の恥ずかしい家系

   ここで私の思い出につながる。小杉氏と知り合ったのは、彼が自民党都議から、河野洋平たちが自民党を脱藩してつくった新自由クラブに移り、国政に打って出ようというときであった。ピカピカの青年政治家だったが、困った問題を抱えていた。ある女性と不倫をしていて、それを週刊誌に嗅ぎつけられたというのである。

   週刊誌というのは私のことだ。すると、有名劇団の演出家から新自由クラブのお歴々までが次々に出て来て、小杉は将来必ず大物になる逸材だから、勘弁してくれというのである。

   まだ30そこそこの若造にとっては、こんな面白いことはない。だいいち、まだ議員にもならない人間ではバリューに欠けて、週刊誌ネタにはなりにくい。結局、党の幹部が責任を持って別れさせると一筆を書き、それなりのものを相手に払いけりをつけた。その小杉氏が文部大臣になったのだから政治の世界は分からない。

   だが、週刊文春や週刊新潮が報じているように、小杉氏の奥さんが架空の投資話を持ち掛けて約9000万円を騙し取ったとして、詐欺で逮捕されてしまったのだ。小杉氏は政界を引退せざるを得なくなる。その小杉の娘の亭主が、収賄容疑で逮捕される。因果は巡るというのだろうか。

   臼井理事長と学長は辞任したが、守屋武昌元防衛次官が逮捕されたときのように、特捜部は家族ぐるみで大学から接待を受けていたのではないかと見て、奥さんの事情聴取もおこなっているようだ。

   週刊現代はタイトルを「収賄で逮捕の文科省エリート 一番のバカは『親父』か『息子』か『大学』か」としているが、みんなバカである。

   一つだけ同情する点がある。「バカな子供ほど親はかわいい」のである。

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