2018年 12月 14日 (金)

<ヒトラーを欺いた黄色い星>
ナチス暴虐のベルリンで生き延びたユダヤ人1500人!ドイツ兵になりすまし、髪を染め、匿われ・・・

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(C)Peter Hartwig
(C)Peter Hartwig

   1943年6月19日、ナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスは「ベルリンからユダヤ人を一掃した」と宣言した。しかし、実際は約7000人のユダヤ人がベルリンに潜伏していて、約1500人が終戦まで生きのびた

   ドイツ兵に成りすまして同胞のために偽造身分証を作り続けたツィオマ・シェーンハウス。ドイツ軍将校にメイドとして雇われたルート・アルント。反ナチを掲げるドイツ人に引き取られ、ナチスへの抵抗運動を続けたオイゲン・フリーデ。髪を金髪に染め「別人」として生き抜くことを決意したハンニ・レヴィ。

   この映画は、4人の生存者のインタビュー、彼らの若き日を俳優が演じる再現パート、当時のニュース映像を織り交ぜた証言ドラマで構成されている。監督のクラウス・レーフレはテレビドキュメンタリーを中心に活動し、これまで40本の作品を制作してきた。

「われわれはドイツ人に苦しめられ、ドイツ人に救われた」

   4人の生存者の証言は、過去を振り返ることの痛みが伝わってくる。彼らは言葉をゆっくりと選び、「自分たちのために、ナチスに抵抗してくれたドイツ人もいたのだ」と語る。

   オスカー・シンドラーのようなヒーローだけでなく、当たり前にユダヤ人を守ろうとしたドイツ人は少なからず存在しており、ドイツ人将校の中にも存在していたのだと語られていく。「われわれはドイツ人に苦しめられ、ドイツ人に救われた」

   ハンニが髪を金髪に染め、名前を変え、自分を捨て、その対価として堂々とベルリンの町を歩くことができた17歳当時の少女の喜びを微笑みながら語る場面が、人生で「生きる」こと以上の価値が存在しえない事を伝える。

   過去の悲劇を語る以上に、生きる喜びを伝えていくことに意味があると彼らは語る。いま自分にできること、次世代に伝えていくこと、平和であるからこそ見つからないアイデンティティ――それらの核心は歴史の中に存在し、歴史の中から自己を見出すことが可能なのだと。

   歴史がもたらした悲劇を精算することはできない。しかし、それらをアイデンティティにするよりも、悲劇の中に存在した数少ない人間性が救いであり、未来への布石となる――被害者がそれを語るのは勇気がいることであり、尊いことだ。だからこそ、我々は、映画を通して投げかけられる難題に向き合う「義務」があるのかもしれない。

丸輪 太郎

おススメ度☆☆☆

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