2018年 11月 18日 (日)

細かな言葉のニュアンスで恐ろしく陰影深く描いた容疑者と刑事との15年に亘る取り調べの丁々発止!緻密な脚本に感心
<NHKスペシャル 未解決事件 警察庁長官狙撃事件 容疑者Nと刑事の15年>(NHK総合)

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   緻密な脚本(演出共に黒崎博)に感心した。先週放送された膨大な捜査資料だけでも仰け反るのに、公安のオウム説に対して刑事部が追っていた中村泰(イッセー尾形)と原雄一刑事(國村隼)との15年に亘る取り調べの丁々発止を、細かな言葉のニュアンスで恐ろしく陰影深く描いた。俳優たちも応えた。「仲間は売らない」という中村に対して、次第に刑事の方が低姿勢になってゆく過程も面白い。

   筆者が最も打たれたのは終盤に登場するアメリカのシーンである。中村の写真を見て、「モリオ」と呼びかける母娘。優しい父のような存在だった中村が、実は拳銃を解体して日本に送るためのカモフラージュに彼女たちを使っていた事実。裏切られても中村・善人説を信じるプアーホワイトの得もいわれぬ哀れ。一体中村とは何者か。

   警視総監(小日向文世)や6人も代わった捜査1課長の最後の人物(原に対して、『ホームの端に立つなよ』つまり、殺される危険があると忠告した人)など、組織防衛のために無情に部下たちの長年の血涙を斬り捨てる非情さは、よくドラマでも描かれる。だが、この事件に関しては、戦後の闇に消えていった数々の未解決事件(下山事件ほか)と同様に、国内だけではない不気味な半島や大陸との犯罪コネクションが関係しているのではないかとさえ勘繰ってしまう。部屋の隅で供述を記録していた同僚の刑事の、時々挿入される緊張した表情が何ともいえず効果的に使われていて素晴らしかった。(放送9月8日21時~)

   (黄蘭)

採点:3
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