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男性の「精子力」が落ちている・・・1000万円も使ったのに妊娠しない!

   精子の力(精子力)が衰えている男性が珍しくなくなっているのだが、男性不妊の認識不足もあって、精子の改善が行われないまま産婦人科医が利益の多い体外受精を勧め、失敗を繰り返すケースも少なくないという。

   38歳の女性は夫の精子力の衰えを知らされず、7年間も無意味な不妊治療を続けた。訪れたクリニックで、夫の精子の数が自然妊娠の基準に満たないことが分かったが、医師から「不妊治療をすれば大丈夫」と言われ、勧められたのが顕微授精だった。母体から卵子を取り出し、そこに精子を注入するという高度の治療法だ。

   ところが妊娠には至らず、病院を代えても治療法は同じだった。結局、1回に数十万円もする顕微授精を7年間にわたり14回も繰り返し、費用は1000万円以上もかかった。

   女性は「医師は(検査結果が)あまり良くなかったからというんですけど、とにかく数値に対して危機意識を持って対応してくれることが、ほとんどなかったですね。『顕微授精だからこれくらいあれば大丈夫でしょう』みたいな言い方を毎回必ずされました」と悔しがる。

   女性は5件目のクリニックで、初めて男性不妊が専門の泌尿器科医から夫の精子を改善する必要性を指摘され、治療を受けた。夫はタバコを控え、食生活も改善すると、1年後に精子の状態が回復し、その後に妊娠した。

儲かる「顕微授精」やりたがる産婦人科医

   産婦人科医はなぜ男性側の不妊原因の改善に積極的な対応をしなかったのか。武田真一キャスターも「18人に一人が体外受精を行っている時代に、男性側の原因が見過ごされて高額な治療が繰り返されています」と疑問を投げる。

   日本産科婦人科学会元理事長の吉村泰典・慶大名誉教授は、「一部の産婦人科医たちは、不妊治療で利益を優先させているのではないでしょうか」と指摘する。

   厚生労働省と横浜市立大の湯村寧准教授が産婦人科医を対象に行った調査では、男性に不妊の原因があると疑われる場合でも、男性専門の泌尿器科医への紹介を積極的には行わないケースが全体の4割もあったという。

放送作家・鈴木おさむも検査受けたら・・・「運動量悪いって」

   男性不妊の治療を受けた放送作家の鈴木おさむ(放送作家)は、自身の体験から男性自身にも問題があると話す。「2回の流産で妻が『妊活』をするというので、好奇心も手伝い精子検査に行ったんです。2回も自然妊娠しているので、自分に問題があるわけはないとタカを括っていたんですが、結果は(精子の)運動量が悪いし、形がやや奇形と出ました。

   流産は、もしかしたら精子に問題があったから育たなかったのではないかと指摘された時は、世の中の男性はこれをもっと知らなきゃと思いましたね」

   精子の検査では、精子の数や運動量、DNAの損傷の有無を調べる。問題が見つかったら、「軽めの運動」「禁欲しない」「亜鉛の摂取」「体重管理」「質の高い睡眠」「長風呂・サウナを避ける」「ピッチリした下着を履かない」など生活をするスタイルを変えてみる。

   精子が改善したのだろう。長男が生まれた鈴木おさむは「精子検査と言われると男性は行きにくい。僕はメンズチェックと勝手に言っています。それに、精子検査だけで医者に行くのはハードルが高いですから、人間ドックとか健康診断の中に取り込んでくれたらいいんですけどね」

   いいアイデアではないか。

*NHKクローズアップ現代+(2018年9月19日放送「"精子力"クライシス 男性不妊の落とし穴」