2019年 10月 23日 (水)

まるで美術館のような病院・・・アートに治療効果!患者の痛み緩和や入院日数短縮

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   アートの力で医療や介護を手助けする取り組みが、世界に広がり始めている。美術館のようにアート作品で溢れるイギリス・ロンドンの「チェルシー&ウェストミンスター病院」を田中泉キャスターが訪ねた。

   小児救急エリアでは、ベッドの真上の照明灯には青空の中に白い雲と色とりどりのバルーンが描かれ、壁にはめ込まれたモニターには動物の動画が映し出されていた。認知症の患者が多い病棟では、ダンスやガーデニングのワークショップがあった。この日は、高齢者の女性がプロのダンサーにリードされて、かつて流行ったダンスに興じていた。

   アートディレクターのトリスタン・ホーキンス氏は、「予備調査では、87%の患者が痛みの軽減を感じているほか、採血時間が通常の7分から3分以下に短縮しました。入院病棟では12日間の入院予定が9日に短縮したケースもありました」と話す。

   アートの力は終末期の患者の支えにもなっている。田中キャスターが次に取材したのが、イギリスで最も歴史の古い「聖クリストファーホスピス」だ。ここでは、患者が絵や陶芸の作品を実際に作ることに力を入れている。専門のアーティストが制作活動をサポートする。作品を作ることで、不安や孤独がほぐれていくという。

   田中が「アートのどこが好きですか」と女性患者に聞くと、「病気のことを考えず集中できるのがうれしいですね。制作することは本当に楽しく、良い時間が過ごせます」と話した。

からくり時計が出迎える「四国こどもおとなの医療センター」

   日本でも四国・香川の病院では、アートで患者たちの心を癒す試みが始まっている。善通寺市の「四国こどもおとなの医療センター」(中川義信院長)の正面玄関の壁面には、赤、青、緑色を使った絵がさりげなく描かれ、一歩入ると大きなからくり時計が迎えてくれた。

   幼稚園か小学校といった趣がある内部で、入院病棟へ通じる廊下の壁にはいくつもの小さな扉があり、「開けてみてね」と書かれてある。中にはプレゼント用の動物のぬいぐるみとメッセージカードが入っていた。

   さらに、家族にとっては辛い霊安室から駐車場に通じる廊下は、以前はコンクリートがむき出しで殺風景だったが、病院スタッフが和紙に花の絵を描き柔らかい光の空間に変えた。

   中川院長によると、アートを取り入れたのは別の病院で起きたある問題が契機だったという。精神科の小児病棟で、入院生活のストレスから壁や扉が壊される行為が絶えなかったのだ。子どもたちの心を癒そうと考えたアイデアが、子どもと一緒に鳥たちが集まる大きなくすのきの壁画を描くことだった。完成すると、壁や扉を壊す乱暴な行為がなくなったという。

中川院長「一つの成功体験というか、何とかこれを生かした病院をつくりたいと、さまざまなアイデアを聞きながらこの病院をつくり上げました」

ノーベル賞・大村智教授「患者さんだけでなく家族も力づける」

   ノーベル医学・生理学賞を受賞した北里大の大村智・特別栄誉教授は、蒐集した膨大な数の絵画を大学病院に展示し、患者たちを癒し続けている。キャスターの武田真一が「アートは患者さんの回復にどんな影響があるのでしょうか」と聞く。

大村教授「具体的にいっぱいあります。患者さんだけでなく、子どもの病気で病院を訪れた母親が、ある絵を見て、この絵を描いた画家に会わせててほしいと言ってきました。
   話を聞いたところ、『自分は子供を道連れにと思うほど落ち込んでしたのですが、この絵を見て、これではいけない、頑張って子どもを育てていこうという気になりました』というんですね。私はこの話を聞いて、良いことができたと思いました」

   アートというと絵画美術と捉えがちだが、静かなブームになっている癒しの音楽も含め、芸術全般を指している。大村教授は「20世紀は科学技術が非常に進歩しました。ところが、心の問題は取り残されてしまった。科学技術のもたらしたひずみを、アートの力でまともなものに持っていきたい。私が病院に絵画の展示を始めたのも、そのためです」と語った。

NHKクローズアップ現代+(2018年10月17日放送「世界が注目!アートの力 健康・長寿・社会が変わる」)

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