2024年 4月 24日 (水)

安田純平「自己責任バッシング」見当違い甚だしい!大手メディアは危険地帯に行かないからフリージャーナリストが行く

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   シリアの過激派組織に3年以上も拘束されていた安田純平氏が解放されて帰国した。相変わらず、「自己責任論」や「身代金を払えば、海外に行く日本人の誘拐が増える」「国民や政府に迷惑をかけたのだから謝れ」という批判がある。

   週刊新潮によると、身代金については<「在英国の人権団体からは、カタールの政府が約3億円の身代金を払ったとの情報も出ている。事実だとすると、それは『肩代わり』であり、いずれ日本政府が何らかの形で『弁済』しなければなりません」(大手メディア外信部デスク)>という声もある一方で、日本政府の「国際テロ情報収集ユニット」という組織が動いたという見方もあるそうだ。

   このユニットは2015年に発足し、定員は80名ほど。外務省、防衛省、警察庁、内閣情報調査室などから集められたメンバーで構成されていて、外務省内に設置されているが、全員が内閣官房兼任で、総理・官房長官直結の組織だと、公共政策調査会の板橋功研究センター長が解説している。

   安田氏救出のためにカタールやトルコの情報機関と信頼関係を築き、シリアの反政府組織と交渉してもらったのではないか。そうなると、身代金を払っていなくとも、<「日本政府がカタールやトルコに『借り』を作ってしまった」(板橋氏)>ことになるため、これからの日本外交に少なからぬ影響を与えるというのである。国と国とが、過激派に拘束されている人間を救うために協力するのが、なぜ貸し借りと考えなくてはいけないのか、私には解せない。

   また、安田氏が過去に「自己責任を否定しない」といったことに対して、<「結局、自己責任では脱出できなかったことが露呈しました」(アゴラ研究所の池田信夫氏)>という声があるそうだ。安田氏のいう自己責任とは、紛争地域に潜入するのだから、万が一自分がどうなっても、それは自分の責任だという、ジャーナリストとしての覚悟をいったものであろう。

   拘束され、長い間過酷な状況に置かれれば、カメラの前で「助けてくれ」というのは、弱い一人の人間として当たり前だし、それを国が助けようというのも、至極当然のことである。

   週刊新潮でジャーナリストの徳岡孝夫氏がこう語っている。<「大手メディアの記者はシリアのような危険地帯に行こうとしない。そこにフリーのジャーナリストが入って真実を報じようとするのは当たり前です。そりゃ、政府は危ないところには行くなと言うでしょう。でも、ジャーナリストとはそういうところに行くものです」>

   福島第一原発事故のとき、真っ先に福島から逃げ出したのは大手メディアの人間たちだった。

   週刊文春は、以前から安田氏がしていた安倍政権批判発言などが、自己責任論を燃え上がらせたのだと見ている。奥さん・深結(みゆう)さんについても取り上げている。彼女は有名なポップスシンガーで、出雲大社に20年前に魅せられ、13年には60年に1度の「出雲大社平成の大遷宮」の奉祝コンサートで、その美声を響かせ、島根県の親善大使・出雲観光大使も務めているそうだ。

   そうした縁もあるのだろう、あの安倍昭恵夫人とも昵懇で、深結さんが出した本でも対談している。ジャーナリストの常岡浩介氏が「昭恵さんに相談してみたら」と提案したら、昭恵夫人から「何もできませんが、お祈りしています」という返事が来たそうである。

   安田氏は現在、検査中で、退院したら会見を開くという。

今年に入って殺害されたジャーナリストは62人!カショギ氏もその1人

   「国境なき医師団」のホームページに、今年に入って62人のジャーナリストが殺されたと書いてある。10月2日、トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館に、離婚証明を手に入れるために訪れたサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏(59)も、その1人である。

   ニューズウイーク日本版によれば、「異変」に最初に気が付いたのは、その建物の近くで待っていたトルコ人の婚約者だった。彼のアップルウオッチと同期していたiPhoneを彼女がもっていたため、そこに彼が拷問を受けていた様子が録音されていたというのだ。ただ、これは、何らかの手段で音声情報を入手したトルコ当局が、それを知られないためにそうリークしたといわれているそうである。

   カショギ氏は9・11を主導したウサマ・ビンラディンへの数度にわたるインタビューで、名前を知られた。サウジアラビア支配層に食い込みながらも、その保守性を容赦なく批判するようになり、17年にアメリカに亡命した。

   ワシントン・ポストでコラムニストとして、現ムハンマド皇太子の体制を痛烈に批判してきた。だが、彼はニューズウイークに対して、生前、「政権打倒を叫ばない。あまりに危険だから」と語っていたという。

   それだけ身の危険を熟知していたカショギ氏が、トルコとはいえ、なぜサウジ領事館へ単身で入っていったのか疑問だが、このように、権力の裏側を暴こうとするジャーナリストに危険はつきものである。

   日本のように、平和ボケした国民と、安全地帯でぬくぬくと惰眠を貪っている大手メディアの記者たちは、こうした危険は他所事だと思っているのだろう。から、安田氏のようなケースが起きると、ヒステリックに自己責任などとバカなことを叫ぶ輩に対して、たしなめることもできず、自分たちの恥を覆い隠そうと悪乗りするメディアまで出て来る始末だ。

   この国には、ハロウィーンでバカ騒ぎする自由はあるが、真の言論の自由度はすこぶる低い。それは、大手メディアに所属している多くの人間たちが、権力チエックよりも権力にすり寄ることを仕事だと勘違いしているからだ。

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