米国中間選挙 脅威のトランプ情報戦略 個人情報を徹底分析してターゲットを絞り込み手法がエグすぎる
前回選挙のトランプ氏黒幕も「今回はひどすぎる!」
この状況づくりにかかわった人物が取材に応じた。2年前の前回大統領選でトランプ氏のキャンペーンを後押しし、個人情報の不正取得で摘発された会社に勤めていたクリストファー・ワイリー氏。一人一人の心理的特徴を選挙に活用し、投票にどう関係するかの実験を繰り返した。「精神的もろさを利用して、疑惑つきの情報を流した。すると、人々はゆがんだ世界観を持つようになった」と語る。その1人、教師のデービット・キャロルさんには大統領選の民主党クリントン候補を誹謗する動画が大量に届いた。いつかニセ情報まで信じるようになり「民主党や選挙への熱意を持てなかった」そうだ。
それから2年、今回の中間選挙を、元仕掛け人のワイリー氏は「自分の想定を大きく超えた事態に遭遇している」と話す。「無害と思っていたSNSで民主主義が損なわれています。本当に後悔しています」
ニューヨークタイムズのディーン・ワイリー編集長は「この国は分断が進んだ。民主党支持者はトランプ大統領の存在を危惧し、共和党支持者は反対にトランプ大統領が権力をなくすことを心配する。無党派層は混乱している」「大統領がウソをついたと報じても、トランプ大統領は影響なし。支持者がそれでもいいと受け止める」と現状を指摘する。
信じたい情報だけが送られるSNSの世界、トランプ支持者は自分の感情に耳ざわりのいい話だけを、たとえニセモノであっても接し、信じ、行動する。日本が手本にしてきた米国の民主主義がIT社会の進展とともに、とんでもない危機にひんしている。
※NHKクローズアップ現代+(2018年11月5日放送「2018年11月5日(月)「シリーズ アメリカ中間選挙① 知られざるトランプ流SNS戦略」)
文・あっちゃん