2024年 4月 20日 (土)

シリア拘束3年半に何が起こっていたのか?安田純平氏が話してないこと、日本政府が隠していること

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    週刊文春が報じた日本テレビ系の「イッテQ」のヤラセ問題は、ラオス側も対応を協議しているという報道あり、国際問題にまで発展しそうである。

   日テレ側の弁明も「誤解を招く表現があり反省すべき点があった」というだけでは、事態は収まりそうにない。看板番組だけに、他のメディアからの追及も厳しい。だいたいメディアというのは攻めに強く守りに弱い。日テレ大ピンチである。

   大ピンチといえば、口利き料100万円を懐に入れたと週刊文春に報じられた片山さつき大臣も同様である。国会でこの問題を追及された時、彼女は「南村秘書と明記された名刺を見たことがない」などと、すぐわかる嘘をなぜついたのだろう。週刊文春は、この問題を取材している時に、南村から「私は単なる秘書ではない」と聞いているし、名刺もある。片山の事務所側も「平成27年5月に私設秘書を退職している」と答えているのである。

   そのうえ、200万円もの金が政治資金報告書に記載されていないことも暴露された。嘘に嘘を重ねる醜い姿は、今や安倍政権の象徴となってしまった。

動いてくれたのは亡命ウイグル人グループ「罪のない日本人を拘束していいのか・・・」

   シリアの過激派組織から解放され、帰国した安田純平氏だが、解放に至るにはさまざまな人たちが彼を救うために動いたことは、想像に難くない。その一人、中国現代史研究者の水谷尚子氏がニューズウイーク日本版に手記を載せている。

   彼女は中国政府に弾圧されているウイグル人亡命者の聞き取りをしていた。そこに安田氏の友人である常岡浩介氏から「協力してほしい」と頼まれたそうだ。安田氏がシリア北部のイドリブで拘束され、彼女はその県のウイグル人勢力とチャンネルがあったからだ。

   当時は、多くのウイグル人が反体制武装勢力「ヌスラ戦線」の中に義勇軍として参加していた。安田氏の妻とも会い、彼女は2015年8月から9月にかけて、トルコのイスタンブールへ自費で行き、情報を集めたという。さらに16年2月から3月、8月と、何度もトルコに行き、ウイグル人を密使に使って、ヌスラのリーダーに、「安田氏を無償で釈放してほしい」と伝えたそうである。

   今年3月になると、トルコ在住のウイグル人から「安田氏の釈放に向けた話がしたい」と電話やメールが来たそうだ。自費で行くのは無理だったという。その当時、ウイグル人の上層部に「罪のない日本人を拘束し続けていいのか」という強い声があったそうだ。

   水谷氏は、ウイグル人たちの中に安田氏解放へ向けて動いてくれた人たちがいた、と伝えたくてこれを書いたようだ。だが、帰国した安田氏は、ウイグル人を含め、拘束した人間たちへの憎悪を語り、彼女は悲しみを抱いたという。さまざまな人間が人種を越えて協力し合い、その結果、助け出されたということを、安田氏は忘れてはいけないだろう。

   安田氏はフライデーのインタビューに答えている。帰国して1週間ほどしたころ、警察庁や外務省のテロ対策の職員が病室に来たという。5時間も話をじっと聞いていた。そして、外務省職員がこういったという。「安田さん、政府は絶対に身代金を払っていません。テロリストに対してカネを払わないのが日本の大原則ですから」

   ただ、そうですか、というしかなかったというが、なぜそんなことを言いに行ったのだろう。先の水谷氏の話にも、日本政府が動いた、身代金の交渉をしたとは出てこない。安田氏も、妻からの話として、政府は犯行グループを特定できず、確たる生存情報も持っていなかったようだと言っている。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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