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<SOUNDS LIKE SHIT the story of Hi-STANDARD>
伝説のインディーズバンド「ハイスタ」なぜ活動停止したのか?メンバーが語った確執と再結成の舞台裏

「(C)2018 SOUNDS LIKE SHIT PROJECT」
「(C)2018 SOUNDS LIKE SHIT PROJECT」

   1991年の結成からライブハウスの活動だけを行ってきたスリーピースバンド「Hi-STANDARD(通称「ハイスタ」)」は、99年に発表した3枚目のアルバム「MAKING THE ROAD」が100万枚のヒットとなったが、翌年に突如、活動を停止してしまう。現在のハイスタのメンバーの難波章浩、恒岡章、横山健が、解散の理由を明かすドキュメンタリーである。

   ハイスタを始めとするバンドの写真や映像を撮り続けてきたカメラマンの梅田航の映画監督デビュー作だ。

ライブハウスだけのミュージシャン

   ハイスタの人気は、豪快なギターと甘いメロディーラインが融合した楽曲もさることながら、ライブハウスに足を運んでこそ、そのバンドの本質に触れられるという考え方を貫き通したことが、リスナーから支持を得たことにある。

   ライブハウス展開、CD制作、手売りと、音楽活動のほとんどを自分たちで行い、いわゆるインディーズバンドブームの呼び水となった。

   彼らが各地の小さなライブハウスを回っていたころは、ネットも携帯もまだ普及していなかった。音楽雑誌にパンクバンドが掲載されることもなく、ライブ客の口コミでバンドの知名度は上がっていった。そして、活動を休止する。

   活動休止していた10年以上の間のメンバー同士の確執などを、メンバーが語るというのが、この映画の見所であり、ファンにとっては、今まで明かされなかった真相を知る貴重なフィルムとなっている。

グループ知らなくても感動できるドキュメンタリー

   インタビューから、彼らがファンを特別視をすることなく、仲間のように捉えていることがよく分かる。東日本大震災が活動再開のきっかけとなったのも、苦しんでいる仲間のためにできることを考え、再びメンバーが手を取り合ったことがきっかけとなった。

   再結成後のハイスタは、人間は喪失したものを再生できる才能が皆にあることを体現しているように見える。ゼロから作り上げたインディーズバンドが、世界中にリスナーを獲得することができたように、彼らは彼らにしかできない「音楽=生き方」でリスナーとの信頼関係を再び築いた。

   ハイスタを知らない者が見ても、きっと心に何かを残していく映画であり、なんとなく疎遠になった人に電話をしたくなるような映画だ。

丸輪太郎

おススメ度☆☆☆