2020年 11月 25日 (水)

19世紀末の画家、P・ボナールの『黄昏(クロッケーの試合)』に見る浮世絵の影響が興味深い
<美の巨人 ピエール・ボナール 黄昏(クロッケーの試合)>(テレビ東京系)

   1867年パリの郊外生まれで、エリートのブルジョア家庭育ち、名門大学に通っていたが、22歳の時にエリートの道を捨てて絵描きになったピエール・ボナール。彼の「黄昏」が今日の1枚である。左半分は木の葉の間に見える父、妹、妹の夫、従妹の4人がクロッケーをしているが、全員が視線を合わせず、暗い。画面の右上には誰だか知らない白い服の複数の女性が、明るく踊っている黄昏どき。
   伝統的な宗教絵画に反発していたボナールに衝撃を与えたのは、パリ国立美術学校で開かれた浮世絵展で、以後、ボナールの絵には数々の影響が見られる。「黄昏」でも4人の衣服の平面的な格子柄、木々の葉っぱの切り紙のような立体的でない描写、妹の洋服の肩あたりの不自然な膨らませ方など、随所に浮世絵に似た部分がある。ボナールがコンクールで優勝したシャンパンのポスターには、葛飾北斎の波のような手法でシャンパンの泡が描かれている。
   また、彼は演劇にかかわっていたので、「黄昏」も舞台美術のカキワリにみられるような10層の絵の重なりと分析できる。たった1枚の絵の中に、かような様々の分析解析が出来ることに驚くとともに、フランスが輩出したゴッホやゴーギャンやマティスなどの巨大な絵描きたちの定番の評価とは異なる興味がフツフツと湧いたのである。オルセー美術館で開かれたボナール展は、客を最も多く集めたという。ナレーターの神田沙也加の声が愛らしかった。(放送2018年11月24日22時~)

(黄蘭)

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