J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

繁盛する「退職代行サービス」辞めさせてくれない、自分で言い出せない・・・第三者に依頼してトラブル回避

   自分で会社に退職届を出さず、第三者に依頼する「退職代行サービス」を利用する人が増えている。東京都内の弁護士事務所は、20代~30代からメールやSNSで退職代行の相談や依頼が月に30件ほど寄せられるという。全国の労働局でも、退職に関する相談が、ここ10年で2倍に急増した。

   退職代行サービスには数万円がかかる。なぜおカネを払ってまで利用しなければならないのか。

   27歳の男性は6年勤めた不動産会社に、「もっと幅広い経験を積みたい」と退職を申し出たが、社長は「とりあえず考えておくよ」「もうちょっと待て」と言って取り合ってもらえなかった。退職届を持参しても受け取ろうとしない。しかたなく、退職代行サービスに依頼したという。

   一方、売り手市場をいいことに、退職代行サービスを利用した身勝手なケースもある。東京都や千葉県で保育施設を運営する60代の経営者は、退職代行サービスから電話が入り、突然、保育士の退職を告げられた。保育士のために寮を用意し、通勤は車で送迎するなど手厚い待遇を心がけてきたのにといぶかったが、退職の意思や理由を直接聞くこともできない。

業者は弁護士法違反の可能性

   退職代行サービスにいち早く目をつけたのはベンチャー企業なのだが、弁護士法で禁止している「非弁行為」に該当する可能性が高い。これに、退職代行サービス「EXIT」の新野俊幸共同代表はこう反論している。

   「われわれがやっているのは、退職に関する連絡の仲介なんですね。お電話をして『退職届をご本人が送っているのでご確認ください』と。こういうやり方であれば、非弁(行為)にあたらないという判断をしています」

   弁護士法に詳しい青山学院大の塚原英治教授は「弁護士の多くは弁護士法違反と受け止めていますが、問題はただ辞めますと伝えるだけなのか、会社側と交渉をしているのかがポイントになります」と話す。

   退職には未払いの給料や残業代の請求などの交渉が伴うことが多く、こうした交渉は弁護士しかできない。

離職率4%の「サイボウズ」社員のニーズに合わせた働き方

   社員の多様な働き方を追求しているIT企業「サイボウズ」は、かつては社員の離職率は28%だったが現在は4%だ。どういう対策と取ったのかを武田真一キャスターが聞いた。青野慶久社長の説明はこうだった。

   「働く時間や働く場所、お金へのこだわりなどさまざまある中で、一人ひとりの社員のニーズに対し、選択肢をいっぱい出そうと対応していきました。こちらの持つ価値観ではなく、一人ひとりのニーズをデータベース化していきました。コストもかかりましたが、モチベーションも上がって、定着率も上がりました」

   今の若者は「活気のある職場」「みんなが一つの目標を共有する職場」より、「互いに個性を尊重する職場」を理想にしているという。経営者はその一人ひとりの個性をどう把握するか、難しい答えを求められているのかもしれない。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年11月28日放送「なぜ広がる?「退職代行」サービス」)