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遠方に住む高齢の親、「呼び寄せ」て介護したい―成功のポイントは「早めにじっくり話し合い」

   きょう3日(2018年12月)のあさイチのテーマは「呼び寄せ介護」だった。雨宮萌果アナウンサーが「年末年始、今年は親元に帰りますか?もし帰るのであれば、これからについて親と話してみるのはいかがでしょうか」と提起した。

   遠距離で暮らす親子が当たり前になっている現代で、子供に「呼び寄せ」られ、老後は子供の住む町に引っ越すという人も増えつつある。

   一方、70代以上の人を対象にしたアンケートでは、老後に暮らしたい場所は「現在の家」が55.9%と圧倒的に多く、「子供の家」はわずか2.9%だった。高齢者にとって、住み慣れた土地を離れ新しい環境で暮らすのは想像以上にハードルが高いのだ。

介護が必要ではない段階から老後の相談を

   都内に住む小岩朝子さん(57)は、新潟で一人暮らしをしていた母親を呼び寄せたものの、これでよかったのかと自問自答している。

   母が危うく火事を起こしそうになったことがきっかけで東京に呼び寄せたが、「東京は肌に合わない」という母の気持ちに反する選択だった。「冬の間だけね」と嘘をつき、半ば無理やり近くの施設に入所させたが、スタッフに心を開かず、入浴や診断を拒むように。小岩さんは多い時は週に5回施設を訪れ母親に会っているという。

   「親の人生を私が決めちゃっていいのかな」と悩んでいる小岩さん。早くから老後について話しておけばよかったと後悔を明かしていた。

   東洋大学の高野龍昭准教授「今、85~90歳の50%が介護が必要になっている。80代の半数が、介護がいらないまでも何らかの認知症の症状がある。歳を取るということは介護が必要になる、認知症になるということ。その上でどう暮らしていくか、子供も親も考えなきゃいけない。まだ介護が必要ではない早いうちから、どうするか相談しておく必要があると思います」

近くに住めば他の家族の助けが得られるメリットも

   一方、呼び寄せに成功した人もいる。11年前に熊本から東京に両親を呼び寄せた谷川公一さん(64)は、父親が車で中学生と接触事故を起こしたのをきっかけに呼び寄せの話を切り出した。東京はどんな町でどんな生活になるのか、呼び寄せた後の暮らしについて具体的に、1年かけて話し合った。谷川さんの妻や子供と急に同居するのはハードルが高いが、何かあったらすぐ駆け付けられるようにと、同じマンションの別の階に住むことにした。

   呼び寄せて3年後に父親が亡くなり、母親を有料老人ホームに入所させることに。社交的でデイサービスが大好きという母だからこそ上手くいった側面もあるという。

   また、東京にいることで、谷川さんの二人の娘の家族が介護をサポートできるようになった。

   谷川さん「一人では絶対に看られない。全部を背負うのは難しい。娘の目線で助けてくれることもたくさんある。僕らが両親に色んな話をするよりも、孫がニコッと笑って『おじいちゃーん』って言うだけで、『あぁ来てよかったな』となると思うんですよね。僕の場合は呼んでよかった」

   近江友里恵キャスター「離れて住んでいる親がどういう生活をしてどういうお友達と付き合っているのか、社交的なタイプなのか家に一人でいるのが好きなタイプなのか、見極めるのも大事かもしれないですね」