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速度0の事故でも「危険運転」にあたるのか? 東名あおり事故、適用なければ「無罪」の可能性も

   2017年6月、東名高速道路であおり運転を受け停車させられた夫婦が死亡した事故で、危険運転致死傷などの罪に問われた石橋和歩被告(26)の裁判員裁判が3日(2018年12月)、横浜地裁で始まった。

   法廷では「追い越した方向が違う」「起訴状の内容と違うけん」「あと被害者をつかんだのは、胸ぐらじゃなくて左腕」と発言した被告。謝罪や反省の言葉はなく、事故の詳細が明らかにされても動揺することはなかった。

検察は万が一に備えて「監禁致死傷罪」でも起訴

   最大の焦点は、被告の一連の行為が「危険運転致死傷罪」に当たるかどうかだ。夫婦が死亡するに至ったトラックの追突は被告が車を停車させた後に起こっているからだ。検察は適用されなかったときのために、車線上にとどまらせた行為が監禁に当たるとして、「監禁致死罪」でも起訴している。

   一方、弁護側はあおり運転を認めたうえで、2つの罪は摘要できないと、無罪を主張している。

   弁護士の菅野朋子さんは「危険運転致死傷罪は、運転をしている最中のことを前提としている。検察側は停止も含めてあおり運転ということで因果関係を主張しているが、さすがにそれは拡大解釈では。因果関係という意味では難しい。むしろ監禁致死のほうが条文上はあり得ます」と話す。

   青木理(ジャーナリスト)「これは一連の行為で、すべて運転に関わることで起きている。僕は危険運転致死傷罪の方がぴったりくる。監禁致死傷罪はこじつけとまではいかなくてもちょっと......。法の不備もあるのかなと感じてしまう」

   玉川徹(テレビ朝日解説委員)「高速道路については止まるということがものすごく危険な行為。(被告が)速度を落として行って、速度0まで持って行ったと考えれば検察側の主張が通る可能性はあるのでは。法律を作った側の想定の甘さはある」

   青木「危険運転致死傷罪なのか監禁致死傷罪なのか、あるいは今の法律では裁けないということで無罪になるのか。判断を裁判員の人は迫られます」