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<大恋愛~僕を忘れる君と>(TBS系)
素敵なムロツヨシ&戸田恵梨香・・・本当にどこかで暮らしていそうな自然な二人に拍手!

    戸田恵梨香はともかく、ムロツヨシが「大恋愛」って、そそらないなあと思いつつ初回を見て、色眼鏡で見ていたことをすっかり反省した。回を重ねるごとにムロがかっこよく見えてきた。2人の芝居も自然で、いいコンビだ。

   若年性アルツハイマー症がテーマで、描きようによっては、暗くて重くなりがちだが、そうならないのは、戸田とムロが2人とも本質的に明るいから。大石静の脚本もそんな2人にあて書きのように、台詞やシーンがピタリと決まっていて、視聴者もこれはドラマだとわかっていながら、どこかノンフィクションのような感覚をもって見ているのではないか。

   役の中の2人が現実にそこに暮らしているような錯覚が味わえるのは、2人の演技が自然だからで、達者な俳優をキャスティングしてくれてありがたい。

オンボロアパートを愛の巣に穏やかな日々

   戸田が演じる北澤尚は産婦人科医師で、母親が院長を務めるクリニックで働き、エリート医師の井原侑市(松岡昌宏)とお見合いで婚約をしていた。ところが、挙式間近になって、ムロが演じる引っ越し業者の間宮真司と出会い、運命の恋に落ちる。

   間宮は実は尚が一番好きな小説「砂にまみれたアンジェリカ」を書いた作家で、デビュー作では脚光を浴びたものの、その後はさっぱり売れず、引っ越しのアルバイトで糊口をしのいでいた。尚は婚約を破棄し、母親の反対も押しきり、真司の元へ走る。

   オンボロアパートを愛の巣に2人の生活が始まり、尚のおかげで、真司は小説を書く意欲を取り戻す。眠っていた才能が目覚め、売れっ子作家になっていく。

   と、そのころから、尚には若年性アルツハイマー症の症状が見られるようになり・・・。

子どもに恵まれたが、進行する妻の若年性アルツハイマー症

   元婚約者の井原がアルツハイマー研究の第一人者だったというのは、あまりにもご都合が過ぎるような気もするが、そんな井原と尚の母親がいい感じになってきたことに驚き。子作りに一所懸命な主演2人よりも、こちらの年の差カップルの関係が気になる。

   そして、もうひとり、尚と同じ若年性アルツハイマー症の患者、松尾公平の小池徹平が不気味な役を巧く演じていて、こちらも興味深い。病気がわかった途端、妻に去られ、保育士の仕事も失いそうになり、自暴自棄になっていた。

   尚と同じ病気の彼が出てきたことで、尚のひたむきさ、なにもかもわかっていて、それでも結婚した真司の愛の深さが浮き彫りにされる。

   2人に赤ちゃんが生まれ、家族が増え、症状は進行する。2人の日常がどうなるのか、目が離せない。

   余談になるが、戸田恵梨香が来年後期のNHK連続テレビ小説のヒロインに決定したという。朝ドラは新人女優の登竜門で、彼女たちの成長する姿を見守り、愛でるのが楽しみのひとつだったのに、昨今は民放ドラマの主演を経験した売れっ子女優を引っ張ってくるのがすっかりおなじみになった。たまにはでいいから、初々しいズブの素人をヒロインにして欲しい。(金曜よる10時)

   大熊猫