2024年 4月 25日 (木)

2018年「世の中を騒がせた週刊誌記事」スクープ連発の名物元編集長が選んだこの10本

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第6位<靖国神社トップ「皇室批判」の波紋>(『週刊ポスト』10月12・19号)

   「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていくんだよ。そう思わん? どこを慰霊の旅で訪れようが、そこには御霊はないだろう? 遺骨はあっても。違う? そういうことを真剣に議論し、結論を持ち、発表することが重要やと言ってるの。
はっきり言えば、今上陛下は靖国神社を潰そうとしてるんだよ。わかるか?」

   こういい放ったのは、今年3月に第12代靖国神社宮司に就任した小堀邦夫(68)である。6月20日、創立150周年に向けて「教学研究委員会」を組織し、第1回の会議には、小堀以下、ナンバー2、職員など10人が出席したと当日の議事録に残されているという。週刊ポストはその時の音声テープを入手して伝えた。

   小堀の刃は次の天皇になる皇太子夫妻にも向けられた。「あと半年もすればわかるよ。もし、ご在位中に一度も親拝(天皇が参拝すること)なさらなかったら、今の皇太子さんが新帝に就かれて参拝されるか? 新しく皇后になる彼女は神社神道大嫌いだよ。来るか?」

   由々しき発言である。自分たちがやったことを顧みず、天皇が参拝しないのはおかしいとでもいうような言動は、時代錯誤とでもいうべきものである。

   富田朝彦元宮内庁長官のメモによれば、靖国にA級戦犯が合祀されたことを昭和天皇は嫌い、「だから、私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」と語ったといわれる。最近は、安倍首相でさえも、国際社会に配慮して、靖国参拝をしない。

   天皇に参拝して欲しければ、すぐにA級戦犯の合祀を取りやめることだ。非道な戦争へと駆り立てた人間たちと、そのために貴い命を捧げた兵士たちを、一緒に祀るべきではない。世の右傾化で、そうし当たり前のことが、議論もされず、放置されたままだから、こういう人間が勝手なことをいって、周りもただ聞いているだけなのだろう。

   しかし、あまりにも右に寄り過ぎた風潮は、安倍や麻生などの退場により、揺り戻しが必ず来る。私はそう考えている。

   【寸評】

   週刊ポストの見事なスクープである。小堀邦夫宮司はこの発言の責任をとって辞任した。当然であろう。平成が終わり、新しい元号になるとき、靖国神社をこのまま放置せず、どうするのかを考える時だと思う。私は、大東亜戦争の戦犯たちの遺骨は別に移すべきだと思う。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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