2024年 4月 18日 (木)

2018年「世の中を騒がせた週刊誌記事」スクープ連発の名物元編集長が選んだこの10本

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第3位<女子レスリング伊調馨「悲痛告白」>(『週刊文春』3月8号)

   女子レスリングで史上初の五輪4連覇を成し遂げ、国民栄誉賞を授与された伊調馨(33)が、恩師・栄和人強化本部長(57)から「陰湿なパワハラ」を受けていたことを内閣府の公益認定等委員会に告発していたと、週刊文春が報じて大騒ぎになった。

   告発理由は3つあった。一つは伊調が師事するコーチに対する不当な圧力。二つ目は伊調の男子合宿への参加禁止。三つ目は伊調がリオ五輪まで練習拠点としていた警視庁レスリングクラブへの出禁処分だ。

   伊調が東京五輪へ向けて練習しなければいけないのに、練習する場を奪い取っているのは、「明らかに伊調馨のオリンピック五連覇を阻止するという策動」だという記述があった。

   国民栄誉賞受賞者を、いくら憎み合っても、恩師が邪魔できるのだろうか。栄は、スキンヘッドがトレードマークで、これまで吉田沙保里をはじめ6人の金メダリストを輩出している名コーチである。

   週刊文春の直撃に栄は、「東京五輪に出たければ出ればいいだけの話」「なんで俺が一選手に悩まされなきゃいけないのか」と嘯いた。コーチの中には、コーチした選手が活躍すると、自分も同じように偉くなったと錯覚する人間がいる。東京五輪まで時間がない中、メダルの金城湯池である女子レスリング界に起きた醜聞が、どういう結着を見るのかまだ予断を許さない。

   【寸評】

   ことしほどスポーツ界の醜聞が多く飛び出した年はないだろう。

   その最初が、国民栄誉賞を受賞した伊調が告発した栄監督のパワハラだった。その後、日本大アメフト部の傷害事件、日本ボクシング協会を私している山根会長のパワハラと暴力団との深い関わり、体操界を揺るがした塚原夫妻のワンマンぶりなど、次々に明るみに出てくるのである。

   こうした問題は週刊誌の独壇場である。週刊文春の取材力には何度も驚かされた。スポーツ界のスキャンダルは、大新聞やスポーツ紙は事件化しなければ書かない。

   これらのスキャンダルも、週刊誌が追及しなければここまで追い込めなかったであろう。

   栄監督も粘り腰を見せたが、FLASHが栄はキャバクラで豪遊していたと報じたため、辞任に追い込まれた。週刊誌畏るべし。

   伊調は復帰した天皇杯全日本レスリング選手権で17年ぶりに負けはしたが、決勝戦では見事に勝利して復活をアピールした。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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