2020年 11月 26日 (木)

2つの大震災(阪神淡路と東日本)を上手く取り込んだ名作翻案ドラマのレ・ミゼラブル
<フジテレビ開局60周年特別企画 「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」>(フジテレビ系)

   以前翻案ものの「モンテ・クリスト伯」を同じディーン・フジオカ主演でドラマ化したフジテレビが、今度はジャン・ヴァルジャンだ。「巌窟王」の翻案はめちゃめちゃ無理があって、筆者は酷評した記憶があるが、今回は平成の時代をうまく取り込んでドラマ化してあった。例えば、阪神淡路大震災の時に本名・馬場純(ディーン・フジオカ)が施設で亡くなりつつある渡辺拓海(村上虹郎)から、自分の名前を使って「俺の分まで生きろ」と言われ、犯罪と脱走の罪を隠して成長する設定。もう1つは東日本大震災の利用である。
   大昔、推理作家がよくこういう手を使った。松本清張の『砂の器』では大阪の空襲で主人公が別人に成りすます。水上勉の『飢餓海峡』では海難事故の死体の数をまんまと殺人事件に使って誤魔化す。
   未成年の時に正当防衛で人を殺めた少年・馬場純は、弟を死の病から救うために脱走し、生涯追われる犯罪者になる。一方、純に殺されたワルの父親の敵を討つために刑事になった斎藤涼介(井浦新)は、渡辺拓海を疑い続け、ついに最後に逮捕する。井浦が適役だ。
   細かいところで文句を言いたい矛盾や無理があったが、先述したように2つの災害を上手く取り込んだ物語で、まあまあ見せた。ただし、拓海を名乗る純が指紋を消してあって涼介が証拠をとれない場面は疑問。今はおそらく指紋を消しても、他にDNAを解明する方法があるのではないか。科学捜査は極限まで発達しているから。(放送2019年1月6日21時~)

(黄蘭)

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