2019年 2月 24日 (日)

「日韓相互嫌悪」いよいよこじれる徴用・レーダー照射――いまや仮想敵国視

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   昨年10月(2018年)、韓国最高裁は新日鉄住金の上告を棄却して、「徴用」の原告4人に、1人当たり約1000万円の賠償を命じた。日中・太平洋戦争中の「徴用」で、日本企業へ立て続けに賠償を命じる判決で日韓の対立が先鋭化して、出口が見えない。

   日韓間の賠償問題は1965年の国交正常化の際の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決された」と合意している。元外務事務次官の藪中三十二氏は、「国と国の合意を覆すことは、できない、やってはいけないこと。戦後の日韓関係を土台から揺るがしかねない」という。

   しかし、韓国では「協定では徴用された人たちが救われていない」と、日本企業を直接訴えた訴訟が20年以上も続いている。協定の韓国への協力金5億ドルには徴用への賠償も含まれているのだが、朴正煕大統領はこれを開発にあて、「韓江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を達成したのだった。

   韓国政府は2005年に協定を検証して、「補償は韓国政府が行う」ことになっていると確認したはずだった。一部に慰労金、医療費が支給されてもいた。このため、訴訟は続いていたが、朴槿恵前大統領(朴大統領の娘)時代には、審理が進まなかった。

   ところが、最高裁は今年に入って、新日鉄住金の資産差し押さえ決定まで出した。文在寅大統領は「日本政府は謙虚になってほしい。三権分立で、韓国政府は判決を尊重しなければならない」と言う。菅官房長官はこれに「請求権協定は司法府をも拘束するはず。資産の差し押さえは極めて深刻だ。大統領発言は責任を日本に転嫁するもので遺憾」と反論した。

独裁時代の協定は認めぬと文在寅政権

   なぜこうした動きになるのか。NHK国際部の池畑修平記者はこう解説した。「100年以上前の日韓併合は不法なので、徴用も不法な強制労働で、請求権協定には含まれないという、やや飛躍したロジックによる最高裁判決なんです。背景には、世代交代があります。かつて民主化を勝ち取った世代が、いま裁判所の重要ポストに就いています。軍事政権が結んだ協定への疑念もあります」

   韓国で進行中の訴訟は少なくとも12件あり、原告になりうる人は約15万人。先の判決からすると、賠償の総額は1兆円を超えることになりかねない。

   日本政府は協定に基づく協議を要請しているが、文大統領が積極的に動く気配はない。

   文政権には知日派が少なく、李洛淵首相くらいだという。李首相からは「財団」を設立して補償・賠償を一括するといった構想も出ているというのだが、財団の資金を誰が出すかだ。韓国政府は出資に抵抗はないというが、問題は民意だ。「日本企業にも出させろ」となると、話がややこしくなる。

   請求権協定では、紛争が起こった時は、外交ルートによる解決として協議と仲裁委員会(第三者を交えた)が明記されている。協定には書かれていないが、国際司法裁判所(ICJ)という選択肢もある。

   日韓では目下、日本の哨戒機に対する韓国駆逐艦のレーダー照射問題でも、話がギクシャクと引っかかっている。韓国側の言い分を聞いていると、「友好国」どころか、まるで「仮想敵国」扱いだ。

   来月(2019年2月)には、米朝首脳会談で北朝鮮情勢が動く。そんな中、日韓がこれでいいわけがない。

   *NHKクローズアップ現代+(2019年1月24日放送「亀裂深まる日本と韓国~「徴用」判決の波紋~」)

文   ヤンヤン
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