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九州新幹線でわき水枯れた!田んぼも畑も飲み水も干からびて集落が消滅危機

「本当、この集落はかわいそう。もう終わったよ」

   長崎県諫早市の井樋ノ尾地区の住民たちは嘆く。豊富なわき水で知られていたが、約1年前に枯渇してしまった。リポーター大竹真が現場を取材した。「川もチョロチョロ流れるだけ、ほとんど水が流れていません」

   以前は水しぶきが上げるほど勢いのある川だったが、川底に水はない。農業用の貯水槽の底も乾いている。ある農家は、60年を続けて来た田植えを去年(2018年)はほとんど断念したという。

   田んぼ用だけでなく、野菜のビニールハウスの畑も干からびている。水道水を利用しているが、水道代を考えると十分には使えない。

   約1キロ離れた峠地区には、わき水の言い伝えのある祠がある。「この付近を清水の谷といい、湧き水が流れどんな干ばつにも枯れることがないと伝えられている 文政元年(西暦1818年)11月、施主白岩左右恵門」と書かれている。

   住民に聞くと、「水を汲みに来る人がたくさんいたけど今は来ていない。あんだけしか出ていないから」と話す。生活用水として利用していたが、今は給水車からの配水に頼っている。

新しい井戸掘っても間に合わん

   原因はなにか。「新幹線です」と住民たちは語る。2022年に開業予定の九州新幹線・西九州ルートのトンネル工事だ。2013年に集落の近くでトンネル工事が始まり、おととし(2017年)頃から減水が確認された。

   鉄道建設・運輸施設整備支援機構は「トンネル掘削が進んだころに河川流量の減水が確認されました。トンネル工事による影響であると断定しております」と認め、新しい井戸を掘るなど対策を進めている。まだ十分な水量は確保できていないが、「今年の稲作期に水を供給できるよう追加の井戸工事を進める」と話す。

   だが、住民たちは「何本あっちこっち掘っても、水は出ないと思います」といい、「補償金なんていらない。水がほしい、今までの水が。川でざぶざぶ洗える水がほしい」といっている。