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「チャイナ・ショック」直撃受ける日本経済!春節爆買い消え、対中輸出も大幅減少

   米中貿易摩擦による中国経済減速の影響が、日本にも出てきた。春節連休で東京・銀座を訪れている中国人観光客も、「売っているものはもう持っているものばかりで・・・」「手当たり次第に買うのではなく、自分に必要なものだけを選んでいます」など、かつての爆買いとは様変わりである。

   大手百貨店の1月(2019年)の免税品売上高は、三越伊勢丹は前年比6.6%減、高島屋15.1%減、そごう・西武10.0%減と、軒並み大幅なマイナスを示した。この春節で挽回したいところだったが、松屋顧客戦略部の服部延弘部長は「(中国人相手なら)黙っていても売れた時代はもうありません。昨年同様の売り上げを確保するのも非常に大変と理解しています」と危機感を募らせている。

 

   チャイナ・ショックは日本企業に大きな影響をもたらしている。中国製スマホの売り上げは昨年は3億9000万台と15%減少し、日本企業を困惑させている。1400品目の部品のうち、液晶ディスプレーはジャパンディスプレー製、カメラのフィルムの役割を果たすCMOSイメージセンサーはソニー製と、主要部品900品目が日本からの輸出だからだ。

 

   第3四半期の決算発表では、今年度の売り上げ予想を下方修正する企業が相次いでいる。なかでも電気・機械関連の30社、自動車関連の9社が目立つ。中国向けの輸出に力を入れてきた日本電産の永守重信会長は警戒を強めている。

 

   「私は46年間経営をしているが、月単位でこれだけどんどん落ちたのは初めてです。初めて経験することは注意しないといけない。甘く見てはいけない」

中国企業に広がるリストラ・倒産

 

   中国経済の最前線でなにが起きているのか。「クローズアップ現代+」は、自動車メーカー向け機械部品をつくっている「南武」の中国工場を訪れた。そこには、製造された機械が行き場を失って床に置かれていた。吉富英明営業部長はこんな説明をする。

 

   「急きょ出荷を止めてほしいと言ってきました。最終エンドの自動車メーカーが販売不振で、今のところ金型の必要がなくなったと。お客さんの言葉で印象的だったのは、『リーマンショック以上に仕事がない。本当に不景気で困っている』ということでした。それだけ深刻なんです」

 

   中国経済の減速の背景として、経済が転換期を迎えていることも挙げられる。経済産業省元官僚の細川昌彦・中部大学特任教授は、「人件費が上昇し、中国企業ですら(人件費の安い)海外に拠点を求める動きやリストラ、倒産が出ています」と指摘する。

貿易戦争で終わらなくなった米中対立!安全保障がらみの覇権争いへ

 

   米中対立もがある。対立は単に貿易摩擦だけでなく、国の安全保障が絡んだ根の深い問題になっている。トランプ大統領は6日(2019年2月)の一般教書演説で中国を強く批判した。

 

   「中国は何年にもわたってアメリカの産業を標的にし、知的財産を盗んでわれわれの職と富を奪ってきた。こうしたことは終わりにすると中国に宣言する」

 

   象徴的な出来事が中国の通信機器メーカー「ファーウェイ」の孟晩舟副会長をアメリカの要請でカナダが逮捕したことだった。ファーウェイはAIや次世代通信規格の5G 、自動運転技術などのハイテク技術でアメリカ企業と覇権争いをしており、主導権を握れば、中国は産業や軍事の分野で優位に立てる。

 

   米中対立は世界経済の行方を左右しかねないとみられており、その狭間で日本の置かれた立場は今後一層厳しくなりそうだ。

 

   ゲストの麻木久仁子(タレント)「日本はどうしたらいいんでしょうか」

 

   細川教授は「日本の企業も、安全保障上のリスクを考えながら経営せざるを得ないでしょう。バランスが難しくなってきます。しかも、長引くと思います」と話した。

   *NHKクローズアップ現代+(2019年2月6日放送「"チャイナ・ショック" は起きるのか?~米中貿易摩擦の裏側で~」)