2020年 10月 30日 (金)

数年後にやって来る団塊世代の死亡ラッシュ!週刊現代「最期準備と死後手続き」シリーズが売れている

どうする老後2000万円問題!?マンション投資で備える老後資金!

   週刊誌が総"週刊現代化"している。今週の週刊文春は「これで大丈夫!『葬儀』の手続き」、週刊朝日が「夫や妻と死別後の手続き」、サンデー毎日が「穏やかに逝く心得」と、週刊現代かと見紛うような特集ばかりである。

   理由は簡単だ。売れるからである。日販ウェブメディア「ほんのひきだし」にその"証拠"が載っている。今年1月(2019年)の雑誌月間売上冊数のトップは小学館の「コロコロコミック」2月号、第2位は集英社の「週刊少年ジャンプ」、第3位は宝島社の「otona MUSE」2月号と常連が並んでいる。

   だが、週刊文春を抑えて、堂々、週刊現代が第10位に入ったというのだ。1月7日発売の合併号で、巻頭特集は「老親とあなたに降りかかる『面倒』を解決!死ぬ前に用意しておくこと」だ。昨年同時期と比較しても、130%に迫る売れ行きだったそうである。

   週刊現代はそこから「最期の手続き大特集」を続け、今週号は「大反響!みんな読んでる本家本元」と謳って、「間違いだらけの『死後手続き』」が第9弾になる。

   死ぬ前から始まって、死んだ後の手続きまで懇切丁寧に解説してくれているが、次はどうするのか。「老親の三回忌にしなければいけないこと大特集」でもやるのだろうか。

   堺屋太一が亡くなったが、彼が名付けた「団塊世代」がみな高齢者になり、これから数年間は死亡ラッシュになることは間違いない。ここ数日の朝日新聞の死亡欄の充実ぶりは凄い。寒さが厳しい、インフルエンザの流行など、いろいろ要因はあるだろうが、例年以上に多い気がする。

   もうすぐ冥界に旅立つ年寄りを抱えている家庭が、週刊現代を買ってきて、夫婦で密かに読んでいるのだろうか。

   週刊現代はきょう15日(2019年2月)に、「完全保存版 おとなの週刊現代」(定価980円)を発売する。内容はこれまでやってきた「死後の手続きはこんなに大変です」の集大成。今週号が480円だから、2週がまんして別冊を買えばいいと、私は思ってしまう。

「芸能人は不動産買うべき」あの樹木希林も老後・死後に備えていた!8軒10億円を所有

   こうした特集を読んで、私が不満なのは、面白く読ませようという工夫が感じられないからだ。先週号だったが、女性セブンは相続問題を樹木希林のケースを出して、「さすが!『死ぬ前手続き』家族を幸せにする相続術」とやっていた。簡単に内容を紹介しよう。

   樹木はああ見えても、不動産投資に長けていたという。<樹木さんは口癖のように、"芸能人は生活の保証がないから、お金があるうちに不動産を買うべき"と言っていました。娘の也哉子さん(42歳)、本木雅弘さん(53歳)夫妻にも、"年金のつもりで家賃収入をいただきなさい"と勧めて」>いたのだそうだ。

   女性セブンが調べた限りでは、亡くなる前に8軒もの不動産を所有していて、総額は優に10億円を超えるという。相続コーディネーターの曽根恵子は、「生前に相続先を指定する遺言書を書いていたと思われます」と語っている。

   さらに、<「配偶者が相続する場合、1億6000万円まで非課税という配偶者控除があり、大幅に節税できます。それでも今回、内田さんが不動産の相続を放棄したとみられるのは、樹木さんの意思を尊重し、『2次相続』の対策を考えたのかもしれません」<といっている。

   2次相続とは、最初の相続で残された配偶者が亡くなった際、子供に降りかかる2回目の相続のことだと解説するなど、頭に入りやすい書き方をしているのである。

   週刊現代も含めて、無味乾燥な手続きのノウハウだけではなく、どうしたら面白く読んでもらって、ためになるのかをもっと考えるべきであろう。

   これほど相続問題がクローズアップされるのは、残された者たちに深刻な老後への不安があること間違いない。週刊現代は、戦後、「みんなで人口を減らそうとしていた頃」があったじゃないかと特集しているが、たしかに国もメディアも「子供は二人まで」にして人口を抑制せよと、挙国一致体制で減らしてきたのである。

   その上、バブル崩壊、新自由主義導入で、多くの非正規の若者たちを生み出し、結婚して子どもを産み育てることさえままならなくなってしまった。このままいけば、膨大な貧しい中高年が日本中に溢れ、年金介護を含めた社会保障制度が崩壊するかもしれない。いまのうちに少しでもカネを貯めなくては、豊かな老後ではなく、そこそこの老後さえ送れないという"恐怖"から、1銭でも多く親から相続したいという空気が、蔓延しているからであろう。

   アベノミクスの失敗で週刊現代が儲かる、という図式なのかもしれない。皮肉なものだ。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)

ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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