2019年 10月 21日 (月)

「令和」考案者はだれ?万葉集研究の第一人・中西進さん黙して語らず

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   新元号の「令和」はだれの発案だったのか。「平成」の元号制定の事務方担当だった元内政審議室長の的場順三氏は、元号考案者に選ばれる条件を「学士院会員であることは大切です。願わくば、文化功労賞か文化勲章を持っていれば、だれも文句はつけられません」という。その中でも、研究仲間から一目置かれる存在であることが重要だとして、「この人ならしょうがないなと思ってもらえる先生に決めてもらう必要があります」と説明した。「クローズアップ現代+」はその条件に当てはまる国文学、漢文学、東洋史の権威に取材していた。

   日本史学のスペシャリストは「そもそも日本の古典は漢籍にオリジナルがあるので、典拠になりにくいです。日本書紀も古事記も中国の古典を参考にしている箇所がほとんど。さらにいえば、万葉集の万葉仮名は当て字みたいなもので、意味ある言葉から引用するという趣旨からそれます。ですから、私は考案者ではありません。中国古典の専門家を当たるべき」と話した。

   国文学の重鎮は「私の研究分野は仮名中心の和歌。漢籍の重さを考えたら、国書は考えにくいですね。それは中国の影響を無視した考え方だ」と語っていた。

   中国文学が専門の東大名誉教授は「紀元前200年から長きにわたって安定した統治のあり方や君主制度を作ったのは中国です。だから、元号はこれまで古い漢籍から取ってきた」と説明した。

   中国古典の専門家で京大名誉教授の興膳宏氏はこう語った。「個人的には、元号はなくてもいいと思います。時間と空間を支配した中国のシンボルが元号であり、日本の元号も天皇の統治が前提と聞いています。権力者による統治の象徴である元号を、今の日本で使う意味があるのかという根本的議論がないことには疑問を感じます」

元号は文化、西暦は文明

   では、なぜ国書から「令和」が選ばれたのか。万葉仮名には意味のある字はないと指摘されたが、例外があったのだ。それが「序文」だった。序文は歌が詠まれた時の状況を、当て字ではない漢文風の文で書いたものである。そこで、万葉集学者の中西進氏が考案者ではないかということになった。文化勲章を受章している89歳。専門家にも一目置かれる存在で、的場氏の「条件」にも合致しているが、取材は叶わなかった。

   ゲストの元号研究者の京都産業大学の所功・名誉教授は、「今回、候補に挙げられた『万保』『万和』『久化』は過去に何度か候補にあがった案です。古事記、日本書紀からが有力とされていましたが、万葉集という古典中の古典に着目したのでしょう」という。

   取材に当たったディレクターは「漢籍に典拠を求めると、皇帝が民を統治する意味が見えてしまいがちですが、さまざまな階層の歌を集めた万葉集には、上から目線は感じられないということだった」と話した。

   見えてきたのは、元号の持つ意味だ。

   「平成」を考案した東洋史学者の山本達郎氏の弟子の一人である東京大の斯波義信・名誉教授は「平成には平和な世の中への祈りを込めたのではないか」と話す。平成の改元時に最終3案に残った「修文」を提案した九州大の目加田誠・元名誉教授(故人)の弟子である林田愼之助氏は、「元号は社会の進むべき方向を指し示すものであることが望ましいですよね。国民総体が、こうありたいと思う願いが集約される元号がベストだと思います」と話した。

   所氏は「元号は年を表すものですが、表意文字の漢字を使うので意味を表せます。理想や希望を表現できる文化だと思います。その一方で、西暦は数字で文明です。それぞれ長所と短所はありますが、元号には意味が十分あります」と力説した。

NHKクローズアップ現代+(2019年4月2日放送「新元号「令和」決定の舞台裏に迫る」)

文   バルバス
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