大手旅行予約サイトの「楽天トラベル」「エクスペディア」「ブッキング・ドットコム」の3社に、公正取引委員会の立ち入り検査が入った。自社のサイトに掲載する宿泊プランが、他社サイトより高くならないよう旅館やホテル側に要求し、自由な価格設定を阻害した疑いだ。ゴールデンウイークの10連休に影響は出るのだろうか。
旅館やホテル側は登録(無料)するだけで、旅行予約サイトに掲載してもらうことができる。そのサイトを通じて予約した客について、手数料をサイト会社に支払うというシステムだ。「楽天トラベル」「ブッキング・ドットコム」の2社に掲載されている箱根の老舗旅館の予約責任者は、こう不満を話す。
「莫大な広告料をかけなくても世界中から集客してもらえるということがあったので、当初は旅館側はみな喜んでいました。しかし、手数料が結局広告費となり、旅館やホテルの経営を圧迫しているのが現状です。お客さまが来れば来るほど、経費が増えてしまうのです」
旅館側が複数の旅行予約サイトで異なる料金設定をしていると、他のサイトより料金を下げてほしいという連絡がすぐに来るという。静岡県の旅館関係者は「常に監視されていて、警告のメールが送られてくることについては、非常に違和感を抱いていました」と明かす。旅館側が値下げなどに従わない場合は、サイト側からペナルティーが科せられる可能性もあるという。
旅行代金が安くなるのは利用者には嬉しいが、インターネットの宿泊予約に詳しい永山久徳さんは「販売価格が抑えられることによって、サービスの内容や部屋や料理のグレードも抑えられてしまいます」と指摘する。
阿部祐二リポーター「ある旅館は手数料をアップすると言われたため、サイトへの登録をやめたところ、如実に集客力が下がったそうです。取材した旅館も満室で、そのうち6割はサイトの予約客でした」
犬山紙子(イラストエッセイスト)「旅館の経営が成り立ってないと、私たちも旅行ができません。旅行サイトを利用する際に、そのことを頭に入れないといけませんね」
今月27日(2019年4月)から10連休だが、旅行に影響は出るのだろうか。