熊本地震から3年・・・困窮進む「みなし仮設住宅」収入減、通勤負担増でも出るに出られず
首都直下地震では87万戸、南海トラフでは121万戸の「みなし」必要に
1558世帯を1軒ずつ訪問してきた「益子町地域支え合いセンター」の高木聡史センター長は、「各地に散らばった人を支える仕組みが法制度から抜け落ちていた。被災者を見守る枠組みが十分でなかったと3年目にして感じます」と語る。熊本県は県内市町村に支援団体設置を要請しているが、益城町の住民が避難した23自治体のうち9つの自治体でまだできていない。設置はしても、人手が不十分なケースもあり、「いずれ戻るから」と益城町の支援を望む被災者もいる。
みなし仮設からいったん出ると、行政から「復興を遂げた」と見なされる点も問題だ。家賃補助だけではなく、健康支援も打ち切られる。県すまい対策室は「いま思えば、ああすればよかったと思うことはある」「切れ目のない支援が課題だ」という。内閣府は「熊本地震などを教訓に、今の制度の中で改善や工夫を図っている」としている。だが、これは「今の制度」をあくまで変える気がないとも解釈できる答えだ。この点をNHKの取材は十分に追及しきっていない。
駆け出しアナウンサー時代を熊本で過ごしたという武田真一キャスターは「この3年間、生活を取り戻そうと必死で生きてきた熊本の人たちをこれからも支える仕組みを真剣に考えないといけない」と語る。制度や政策のどこに問題があるのか、この3年でだいぶはっきりと分かってきた。
熊本が直面している事態は、どこの地震でも起こりえる。首都直下地震では87万戸、南海トラフの巨大地震では121万戸のみなし仮設が必要という。「改善を図る」と国や県が言うのなら、1日も早く具体的に取り組まなければいけない。
*NHKクローズアップ現代+(2019年4月11日放送「"見えない"被災者からの訴え~武田ルポ 熊本地震3年~」)