2019年 11月 15日 (金)

大人になってからも苛まれる『毒親』・・・東ちづる「褒めてもらおうといい子を演じ続けた苦しさ」

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   干渉しすぎや暴言・暴力をやめられない「毒親」に苦しむ人たちのための関する相談会が、東京、大阪、名古屋などでもう100回以上開かれている。相談者の40代の女性は、「母親にほめられたくて、いい子をずっと演じてきました」と話す。中学生の時にいじめにあったが、母に話すと、返ってきた言葉は「おまえが悪い」だった。以後も否定され続け、自信を持てなくなった。大人になっても、仕事や結婚生活がどうもうまくいかないと悩んでいる。

   相談会では、母親を客観的に見るようにして、思いをノートに書くように勧められた。「私はこんな思いをしていたのか、これが根っこだったのか、と気持ちを整理できました」という。初めは母への怒りばかりだったが、半年続けて、「母も人間だとわかってきました」と思えるところまできた。

   カウンセラーの加藤なほさんは「感情を、トイレに行くように定期的に吐き出して、スッキリしちゃおうという意図でやっています」と語る。

   支援団体の「レンタルお母さん」というサービスが人気だ。カウンセラーがお母さん役になって心を通わす。依頼した30代女性は、子どものころから母親の暴力を受け、愛情を感じたことはほとんどなかった。今は実の母との関係を断った。間もなく結婚するが、「子供のころに嫌な記憶しかなくて、自分が子どもを持った時に不安で」と、レンタルお母さんに悩みを打ち明けた。

   希望は「いっしょに料理を作ること」だ。上手だとほめられたことがなかった。その料理を2人でつくるうちに、「おいしい」「天才」と何気ない会話をかわす。女性は「何回か『お母さん』と呼びたくなりました。きっとこんなに楽しいことだったんだ」と感じたそうだ。

「毒親に育てられました」の作者・つつみに共感5万人

   ゲストの俳優、東ちづるさんも、長く親子関係に悩んできた。「親がよろこぶようないい子を演じてきて、アイデンティティーがなく、生きる意味を見出せませんでした」「親にほめてもらおうとする自分に気づいたとき、いつまでこうしていたらいいのかと恐ろしくなりました」

   毒親は子どもに「○○大に入りなさい」「恋人と別れなさい」と強要する過干渉や、それが高じての暴言や暴力に走り、何事も親中心に考え、ときには子を無視・ネグレクトもすることもある。

   インスタグラムで人気のマンガ「毒親に育てられました」の作者・つつみさん(20代)も、母の料理の味を知らない。帰りが遅いといつも叱られ、毎日お使いに行かされ、言いつけられて弁当を買って戻ると、「なんで幕の内じゃないの」と責められた。

   職場に金を要求する電話をかけられ、友人との仲をさこうともされた。こんな状態を友だちに打ち明けるのも恥ずかしくて、本当のことが言えず、「親とは仲いいよ」と嘘をついてきた。これをマンガにしてSNSで発信すると、「私とおんなじだ」「自分の親を見るようで、苦しくなりました」といった反応が寄せられ、読者は5万人を超すといわれる。

同じことを自分の子どもにしてしまう恐怖

   精神科医の岡田尊司さんは「親といっとき距離をとることで、良い関係を作れる場合もあります」という。人に相談することや、不満を吐き出すこと、カウンセリングを受けるのも有効だ。

   東さんは母親といっしょにカウンセリングを受けて8カ月、母親までが解放された気持ちになりつつあるそうだ。「母もよい妻、よい親であろうと頑張った。個人に戻り、翼が生えた感じで、いろんなことを始めています」と話す。武田真一キャスターは「実は親本人の生き方を見直すことでもありますね」とうなずいた。

   1年半前からカウンセリングを受ける60代女性は、母親の暴言に苦しんだ過去がある。「それが子どもに出てしまう。子から拒否されることが怖くて、こうしなさいと強くいっていました」と、母親と同じことをわが子にしていたのに気づいた。

   岡田医師は「人間は自分がされたことを相手にしてしまう」と、毒親が世代を超えて連鎖する点を指摘する。防ぐには「親が子の安全基地になること。親はどんなときも最後の味方、最後の砦だという意識を持つこと」を強調する。

   「まずは自分の子どもを脅かさない。思いをくんで共感をということですね」と武田キャスターも言う。ただ、「毒親の言葉に抵抗があり、聞くたびに痛みを感じる。親は子を精いっぱい愛して育てるものではないのか」とも話した。 岡田医師「人間は親子でもそれぞれ特性が違います。子どもに的外れなことを押しつけているかもしれません。愛憎は裏表。過剰と不足を調節し、間違っていたら修正する力が必要です」

   武田は「自分の子育てと向き合うのはつらいことですが、最後までずっとなくならない務めです」と涙を浮かべた。武田も過去や子育てに悩んでいるのだ。

   まずは、自分は毒親だと思ってみるのがいいかもしれない。

   *NHKクローズアップ現代+(2019年4月18日放送「毒親って!? 親子関係どうすれば・・・」)

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