佐々岡信哉(工藤阿須加)連れられて訪れた東京・浅草のストリップ劇場「六区館」で、なつ(広瀬すず)は9年ぶりに兄・咲太郎(岡田将生)との再会を果たした。咲太朗は幕間の芝居の手伝いをしたり、タップを踏みながら歌を歌ったりしていた。
「お兄ちゃん!」
「......なつか?」
舞台のスポットライトの中で2人はひしと抱き合った。
咲太郎はなつと富士子(松嶋菜々子)、信哉を大衆食堂に連れて行く。なつから「北海道に行ってからは、本当によくしてもらったよ。ずっと幸せだった」と聞き、咲太郎は「ありがとうございました」と富士子に深々と頭を下げる。 天丼が4つ届いた。「なつ、ここの天丼は美味しいんだぞ。天丼、好きだったろ」「え、私が?」
驚くなつに、咲太郎は「親父がよく作ってくれたんだよ。いつか、その天丼を腹いっぱいお前が食べたいっていうから、どうやって腹いっぱい食べさせてやれるか毎日考えていたな」と振り返り、天丼をかき込んだ。
ひと口食べて頬がゆるんだなつに、咲太郎は声を潜めて言った。「親父のはこんなもんじゃなかった。あれに比べたらこれは安物だ。親父は日本一の料理人だったからな」
なつは「今度は千遥に会いたい」と訴えた。しかし、咲太郎も居場所を知らなかった。千遥は二人の妹で、預かった親戚の家族はいつの間にか千葉に越してしまったらしい。「それでも探したい」となつは声を強める。
なつたちが新宿のレストラン「川村屋」のマダム・前島光子(比嘉愛未)に世話になっていると聞くと、咲太郎の顔色が変わった。なつも気づいたが、再会したばかりで、深い話を聞くのはためらわれた。咲太郎は「あす、川村屋のマダムにお礼に行く」と約束して劇場に帰っていった。
その楽屋で、咲太郎は役者の松井に土下座をして頼んでいた。「10万円貸してください」
10万円といえば、家が建つほどの大金だ。最初は驚いていた松井だが、博打で勝った戦利品だと時計を渡した。咲太郎は、なにか複雑な事情を抱えているらしい。(NHK総合あさ8時放送)