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警報・遮断機なし、1回で渡りきれない長い35メートル――横須賀線「危険すぎる踏切」

   JR横須賀線・逗子駅(神奈川県逗子市)近くにある「山の根踏切」で、ことし(2019年)3月、92歳の男性が上り電車にはねられ死亡する事故が起きた。警報機も遮断機もなく、渡りきるまで35メートルもあって、線路9本を越えなければならないが、ピーク時には4分に1本電車が通る。住民から「危険な踏切」と恐れられてきた。

   渡り切る前に電車が接近してきたら、踏切内で通り過ぎるのを待つことになる。電車はすぐ目の前を結構なスピードで走っていく。住民から「危険な踏切」と恐れられてきた。

線路の向こう側に商店街、病院、市役所

   何度も左右を確認しながら渡る人がほとんどだが、慣れ切っているのか、電車が通過する前に踏切に入る人、スマホをいじりながら渡る人もいる。ほとんどの電車は通過する前に警笛を鳴らすが、イヤホンをしている人も多く、聞こえているのかは分からない。3月の死亡事故では、現場から携帯ラジオとイヤホンが見つかった。

   雨の中レポートをした中谷隆宏アナも、「渡るのがためらわれる感じです。怖いですね」と言いながら、かかった時間は大人の男性の足で39秒だ。

   近隣住民が危険と知りながらもこの踏切を使うのは、「ないと困る」からだ。線路の南側に京浜急行の新逗子駅や商店街、病院、市役所などがあり、北側に住む住民はここを通るしかない生活道路になっている。

   JR東日本や逗子市は歩道橋の利用を呼びかけるが、280メートルも離れている。「危険な踏切」ルートでは5分20秒、歩道橋を通るルートでは9分10秒と4分もの差があるのだ。高齢者は歩道橋の階段の上り下りが難しいという事情もある。

JRと逗子市が折り合わず10年間も放置

   遮断機や警報機をつけないのは、音の問題のほか、「開かずの踏切化」する心配があるからだ。JR東日本は「踏切事故対策の基本は踏切をなくすこと。逗子市と廃止に向けた協議を継続していく」と話すが、逗子市は「話し合いは10年以上進んでいない。廃止するにせよ、新たに設備を設置するにせよ、費用面と管理面でJRと逗子市の双方が納得いく案が出ていない」と明かした。

   浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「JRのコメントにちょっとびっくりしました。踏切対策の基本は『なくす』っていう方向なんですね。高架をつけるにしても、この場合は距離が長いし現実的ではないですよね。10年間も放置されていたのが、ちょっとどうなのかなって思います」

   玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「高架橋って、地震の時に落ちてしまう可能性があるんですよね。下を掘る(通路という)のはどうなんだろう。コストは高いかもしれないけど、歩行者用ならそんなに深く掘らなくても大丈夫なのでは」

   司会の羽鳥慎一「何かしらの方向性を出さないと、また死亡事故が起きる可能性もあります」