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314人を孤立させた屋久島の記録的な大豪雨 予報のズレは「大自然の中では誤差」

   鹿児島屋久島が18日(2019年5月)、50年に1度の記録的な大雨に見舞われ、縄文杉ツアーに参加した登山者など314人が孤立する事態になった。荒川登山口付近でバス3台に乗った195人が取り残されたほか、荒川三叉路から観光施設「ヤクスギランド」までの間などでも大雨で動けなくなった人が続出。19日には自衛隊も出動し、救助が開始された。

   救出された登山者が撮った映像には、救出劇の一部始終が記録されていた。この登山グループは淀川登山口から出発し、縄文杉を見た後、下山する途中に土砂崩れで孤立。映像には、滝のように山肌を落ちる濁流の下を、ガイドに支えられながら一人ひとり潜り抜ける様子や、激しく流れる濁流をロープ伝いに慎重に超える様子が映されている。

「屋久島は普段から雨が多いので、ただの雨では中止にはしない」

   このグループは登山口でようやくバスに乗ったものの、倒木で足止めされ、バスや山小屋の中で一夜を過ごし、翌朝に下山を再開。しかし土砂崩れなどで何度も立ち往生する事態になった。

   314人は、午後6時までに全員が無事救出された。「死ぬかと思った」「怖かった」と口々に語る登山者の顔には安堵の色が浮かんでいた。

   しかしなぜこんな日に登山を決行したのか? ツアーを開催した屋久島の会社は「午前4時半の出発時には警報は発表されていなかった。屋久島は普段から雨が多いので、ただの雨では中止にはしない」と話している。

   18日、午前中はほとんど雨が降っていなかったが、午後から急に雨脚が強まり、午後6時には「50年に1度の大雨」と発表された。予想では1時間の降水量は「多いところで50ミリ」だったが、実際は100ミリに達したところもあった。

   石原良純(気象予報士、タレント)「プロの登山家だったらもっと緻密に考える。『警報出ていなかったから』とか『予報間違っているじゃないか』とか、後から文句言うだけじゃダメです。こんなもの、大自然の中では誤差範囲です。ツアーに参加する人間も謙虚に、もっと警戒して、知識や体力を得ないと」

   司会の羽鳥慎一「警報が出た場合は中止、そうじゃない場合はガイドの判断みたいです」

   山口真由(ニューヨーク州弁護士)「ガイドの判断もなかなか難しいとは思いますが、『単なるレジャーじゃない』という覚悟を持たないないといけません」

   石原「山では、『引き返す勇気』っていう基本がよく言われるじゃないですか」