2024年 4月 18日 (木)

刑務所が「終の棲家」に・・・増える高齢女性受刑者!認知症・貧困・孤立で介護施設化

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   刑務所で「おひとりさま」の高齢女性が増えている。貧困、孤立、認知症を抱え、万引きなどの軽微な犯罪を繰り返して何度も服役する。まるで刑務所が介護施設のようになってしまっているのだ。70歳以上の女性の犯罪の82.5%が万引きで、置き引きなどの犯罪も加えると9割以上が窃盗だ。

   全国に9つある女子刑務所のひとつ、岐阜・笠松刑務所では、受刑者の5人に1人が65歳以上だ。76歳の女性は2度目の服役だという。3年前に刑務所で認知症と診断された。体操の時間に座り込んでしまい、運動場から連れ出される。女性は70歳を過ぎてから食料品などを万引きするようになり、何度も逮捕されて刑務所に戻ってくる。デパートの店員や化粧品の販売をしながら2人の子供を育てたが、夫を亡くし、子供とは疎遠だ。

出所しても住む家も年金もなく舞い戻り

   身寄りのない「おひとりさま」の犯罪が増えているのには、単身世帯が増えていることがある。窃盗を繰り返し、1年半の服役を終えて出所した85歳の女性は、認知症の診断を受けている。自宅は老朽化して住むことも難しく、預金通帳の残高は数百円。年金を受けられず、支援を受けられないまま貯金を切り崩して生活していた。

   ゲストの津田塾大の村木厚子・客員教授は「福祉分野で、困っているとされる人には2つの共通点があると言われています。1つは困窮、病気、家族との離別などの困難が重なってしまった人。もう1つは社会からの孤立です」と話す。万引きをする高齢女性の動機で一番多いのが節約だ。次いで盗み癖、生活困窮と続く。

   村木教授「節約という言葉の背景には、生活に対する不安があります。もらえる年金の額が低いと、貯金を切り崩すしかない状況になります。刑務所に行く前に、福祉につながっていないということが大きな問題です」

   刑務所では、出所後に高齢受刑者が自立して生活できるように、理学療法士が相談に応じたり、リハビリの訓練などを行っているほか、介護予防のプログラムも準備されている。

   高齢受刑者の介護役の人手不足も刑務所の大きな問題だ。笠松刑務所では、職業訓練の一環として、元気な受刑者を介護係として養成して人手不足を補っている。受刑者の出所後の就職活動にも役立っており、すでに15人以上の出所者が介護の戦力となっているという。

文   バルバス
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